LA717を用いた造腫瘍性コロニー形成試験への応用
書誌事項
- タイトル別名
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- Colony formation assay of tumorigenicity tests using LA717
説明
再生医療等製品(特に細胞加工製品)の実用化においては課題が多いが,幹細胞を利用した,特にiPS細胞加工製品の造腫瘍性が非臨床安全性試験におけるひとつの検討事項になっている(細胞加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針).造腫瘍性を評価する方法として,遺伝子やタンパク質の発現で未分化細胞を検出するqRT-PCRやフローサイトメトリー,足場非依存的増殖細胞(悪性形質転換細胞)を検出する軟寒天コロニー形成試験,及び直接的なin vivo特性を評価する免疫不全マウスを用いた移植モデル試験が検討されている.qRT-PCRやフローサイトメトリーは1日での評価が可能であるが,ターゲットが限定されることや検出感度が低いことが課題である.一方,軟寒天コロニー形成試験や移植モデル試験では,造腫瘍性を示すターゲットの網羅的な検出や高感度検出が可能であるが,煩雑な操作を含むことや時間を要することが課題である.<br>今回我々は軟寒天コロニー形成試験の課題を解決するため,軟寒天を代替する各種ポリマーを用いた培養系を検討し,培地への添加により細胞の遊走制御と均一な分散を可能とするポリマーLA717を見出した.LA717が構成する凝集構造により,LA717含有培地中では単細胞及びスフェア(コロニー)が均一に分散された状態で維持され,各種がん細胞株の細胞増殖性が向上していた.そこでLA717含有培地を用いてコロニー形成試験に与える影響を観察した.hMSC中に0.0001~0.1%の割合でHeLa細胞を混合し,LA717含有培地中で培養した結果,2週間でHeLa細胞の混合割合に準じたコロニー数が検出された(軟寒天コロニー形成試験では3-4週間).本法は従来の軟寒天コロニー形成試験と比較すると,細胞播種時に多層状態を構築する必要がないため,簡便かつより迅速なコロニー形成試験として普及が期待される.
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 44.1 (0), P-111-, 2017
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205549590528
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- NII論文ID
- 130006582008
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可