メチル水銀毒性の増強に関わる転写因子tmRT1と結合する蛋白質の探索とその役割

DOI
  • 陳 奕安
    東北大学大学院薬学研究科生体防御薬学分野
  • 大崎 勝弘
    東北大学大学院薬学研究科生体防御薬学分野 興人ライフサイエンス
  • 外山 喬士
    東北大学大学院薬学研究科生体防御薬学分野
  • 黄 基旭
    東北大学大学院薬学研究科生体防御薬学分野
  • 永沼 章
    東北大学大学院薬学研究科生体防御薬学分野

書誌事項

タイトル別名
  • Identification of protein that binds to a transcription factor tmRT1 involved in methylmercury toxicity

抄録

【目的】 我々は、メチル水銀毒性の増強に関与する転写因子としてtmRT1を同定した。また、メチル水銀がTNFαの発現を誘導することも見出し、この誘導にtmRT1の活性化が重要な役割を果たしていることも明らかにしている。一方、転写因子の活性制御に他の蛋白質との複合体の形成が深く関与していることが知られている。本研究では、tmRT1と結合する蛋白質を検索し、その蛋白質がtmRT1の活性に与える影響について検討した。<br>【結果・考察】 HEK293細胞の核抽出物とリコンビナントGST-tmRT1を混合しGSHビーズを用いてプルダウンアッセイを行ったところ、複数の蛋白質がGST-tmRT1と結合していることが確認された。これらの蛋白質を質量分析法により解析したところ、その中にX-ray repair cross-complementing factor 6 (XRCC6) が含まれていた。XRCC6はXRCC5とヘテロ二量体を形成してDNA二本鎖切断の修復に関与することが知られている。そこで、tmRT1のN末端にMycタグを融合したMyc-tmRT1およびXRCC6のN末端にDDKタグを融合したXRCC6-DDKを発現するプラスミドを共に導入したHEK293細胞から得られた抽出物をDDK抗体を用いて免疫沈降したところ、両蛋白質間の結合が確認された。また、メチル水銀によるTNF-αの発現誘導の程度がXRCC6の発現を抑制させることによってさらに増加した。このことから、XRCC6はtmRT1と結合することによってメチル水銀によるTNF-αの発現誘導を抑制している可能性が考えられる。現在、メチル水銀によるTNF-αの発現誘導作用における両蛋白質の関わりについて検討中である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205549642496
  • NII論文ID
    130006581985
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-141
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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