たばこ副流煙暴露による紫外線DNA損傷修復の遅延 -マウス皮膚における検討-

DOI
  • 楊 光
    静岡県立大学 大学院食品栄養環境科学研究院
  • 伊吹 裕子
    静岡県立大学 大学院食品栄養環境科学研究院

書誌事項

タイトル別名
  • Cigarette sidestream smoke delays repair of UV-induced DNA damage in mouse skin

抄録

[実験背景]<br> たばこ副流煙 (CSS) はDNA付加体や酸化的なDNA損傷を引き起こすことが知られている。また、CSSには反応性の高い化学物質が含まれており、DNAと反応するだけではなく、様々な蛋白質にも結合する。我々はこれまでにin vitroの条件で、CSSがヌクレオチド除去修復 (NER) を阻害することを明らかにし、その原因としてCSS成分と修復分子の反応が考えられた。本研究では、in vitroで示されたCSSによるNERの阻害がin vivoでも引き起こされるかどうかを検討した。<br>[実験方法]<br> たばこ5本を燃焼させ、100 mL PBSで捕集した。この溶液をacetone/olive oil (4:1) 混合液と1:1で混合し、実験に用いた。7週齢のHR-1ヘアレスマウス背部皮膚に12時間間隔で、CSS 100 µLを6回塗布した。6回目塗布の1時間後、マウスにUVB (312 nm) 0.378 J/cm2 (3 MED)を照射した。照射0, 24, 36 時間後、塗布範囲内の皮膚を回収、固定し、cyclobutane pyrimidine dimers (CPDs) の生成と修復を組織免疫染色法で検討した。<br>[実験結果] <br> CSS作用/未作用にかかわらず、照射直後に同程度のCPDsが検出された。照射24時間後、CSS未作用の場合はCPDsが修復され、染色された細胞が少なくなったが、CSS作用した場合はCPDsを有する細胞の消失は少なかった。照射36時間後、 CSS未処理の場合、CPDsはほとんど修復された。CSS作用させた場合は、修復は認められたが、未修復の細胞も所々に検出された。以上の結果より、CSS作用によるNERの遅延はin vitroだけではなく、in vivoの条件でも認められる事象であることが明らかになった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205549854080
  • NII論文ID
    130006582116
  • DOI
    10.14869/toxpt.44.1.0_p-195
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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