ROS assay 並びに皮内動態解析による経皮適用化合物の高効率的 <I>in vivo</I> 光毒性リスク評価法の開発

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  • Photosafety assessment on dermally-applied chemicals based on photoreactivity and cassette-dosing pharmacokinetic data

抄録

【目的】薬物の光反応性ならびに皮膚中薬物濃度は光毒性発現に大きく関与する [ICH S10, 2014].先に我々は i) reactive oxygen species (ROS) assay を中心とした光反応性評価並びに ii) cassette-dosing 法による皮内動態解析を戦略的に組み合わせることで,同母骨格をもつ複数の経皮適用化合物における光毒性リスクを同時予測できることを報告した.本研究では異なる母骨格の化合物群に対する本評価系の予測性と信頼性を検証した.<br>【方法】UV 吸収測定,micellar ROS assay により 2-acetonaphthalene (AN), 4’-methylbenzylidene camphor (MB), 6-methylcoumarin (MC), methyl N-methylanthranilate (MM), sulisobenzone (SB) の光反応性を評価した.5 化合物の混合溶液をラット腹部に経皮共投与 (各 0.1 mg/rat) し,皮内薬物濃度推移を調べた.得られたデータから光毒性リスクを予測し,in vitro/in vivo 光毒性試験結果と比較することで本評価系の予測精度を検証した.<br>【結果・考察】5 化合物は UVA/B 領域で強い吸収を持ち,そのモル吸光係数 (MEC) は 3,800–10,833 M-1・cm-1 であった.一方で MB および SB は露光時に ROS を産生せず,AN, MC および MM のみが高い光反応性を有していた.5 化合物のラット経皮共投与後における皮膚中での薬物動態学的パラメーターを算出したところ,AN および MB のCmax は 10.9 および 12.6 µg/g tissue,AN の MRT は 39.3 h と他の化合物と比較して非常に高値を示し,AN および MB の高い皮膚滞留性を認めた.光反応性および皮内動態を考慮し,光毒性リスクは AN>MC>MM≫MB>SB であると予測した.MB のように皮膚滞留性が高い化合物でも光反応性が低い場合,光毒性リスクは低いと判断できる.In vitro/in vivo 光毒性試験結果は AN≒MM>MC≫MB≒SB となり,予測した光毒性リスクと比較的良好に対応した.すなわち本アプローチによる光毒性リスク評価は同母骨格をもつ化合物群に限らず,母骨格の異なる化合物群に対しても有用であった.本評価系はその優れた適用性および生産性により光安全性の高い製品開発に貢献すると期待する.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205550078720
  • NII論文ID
    130005483654
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_p-44
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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