ドキソルビシン心筋症モデルマウスに対するアドレノメデュリンの心保護効果

DOI
  • 吉沢 隆浩
    信州大学ヒト環境科学研究支援センター動物実験部門
  • 滝沢 章
    信州大学ヒト環境科学研究支援センター動物実験部門
  • 嶋田 新
    信州大学ヒト環境科学研究支援センター動物実験部門
  • 松本 清司
    信州大学ヒト環境科学研究支援センター動物実験部門

書誌事項

タイトル別名
  • Adrenomedullin protects against doxorubicin induced cardiomyopathy <I>in vivo</I>

説明

アドレノメデュリン(AM)は多くの臓器で産生・分泌されるペプチドホルモンで、心不全等の臓器障害で血中濃度が上昇することが知られており、心肥大抑制作用、抗炎症作用、抗酸化ストレス作用等を介した臓器保護作用を有すると考えられている。AMの心保護作用には、活性酸素種(ROS)産生抑制やミトコンドリア機能制御が重要とされている。一方、ドキソルビシン(DOX)は、臨床的に抗がん剤として用いられているが、重篤な副作用として致死性の心不全が報告されている。DOXによる臓器障害の機序としては、細胞増殖抑制や、フリーラジカル生成、ミトコンドリア機能障害等が知られている。本研究では、DOX心筋症に対するAMの効果を検討した。<br>雄BALB/cA Jcl(10週齢)を用い、DOX投与群(D)、DOX+AM投与群(DA)、生理食塩水投与群(S)、生理食塩水+AM投与群(SA)の4群で実験を行った。DOXは15mg/kgを1回i.p.し、 AMは0.05ug/kg/minを浸透圧ポンプ(alzet)による7日間の定速持続投与を行った。DOX投薬後3日目または、14日目に血液及び心臓を採取し、血清生化学検査と心室組織の病理学的解析を実施した。<br>3日目では、血清LDHとCKはD群、DA群共に、同程度の増加傾向が認められた。H&E染色では、D群に比べてDA群で心筋組織の障害軽減傾向が認められた。14日目では、D群ではDOX投与によってLDHとCKの増加が認められたが、DA群では改善が見られた。H&E染色では、D群では心筋組織の形態異常が、TUNEL染色においても細胞死の増加が認められたが、DA群では組織障害の改善が認められた。SA群では、3日目・14日目共にS群との比較で変化を認めなかった。<br>これらの結果から、AMはDOXによる心筋組織障害に対して、障害の早期収束/回復促進といった保護効果を有する可能性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205550362240
  • NII論文ID
    130005483413
  • DOI
    10.14869/toxpt.42.1.0_p-141
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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