近世ヨーロッパにおけるビーズワーク

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書誌事項

タイトル別名
  • Modern European Beadwork
  • -In Kyoritsu Women's Educational Institution's possession-
  • !)共立女子大学コレクションを中心に!)

抄録

【目的】現在ビーズ細工の制作法に関する書物は欧米や日本を中心に大量に出版されている。研究書や論文は民族社会学、考古学の立場から述べたものが中心で、近代の服飾および装飾品または工芸としてのビーズワークのデザインや文化についての専門的な研究は現時点ではみられない。研究者やコレクターの著書で歴史の流れのなかで触れているものもあるが、いずれも概論にとどまっている。そこで本研究では近代におけるビーズワークに焦点を当て、主に服飾の観点からその様相を解明していく。【方法】共立女子学園所蔵のビーズワーク254点を資料に、調査品目の分類および集計を行い概観するとともに個々の資料の詳細を調査し全容を解明していく。また、主に19世紀以降のヨーロッパの手芸の制作法に関する文献調査の結果を元に近代のビーズワークについて考察する。【結果】共立女子学園所蔵ビーズワークは昭和63年に教育・研究用資料として購入されたものであるが、どのようなものであるのか不明なままであった。品目は衣食住を中心に生活用品全般に及ぶ。室内装飾品が108点と全体の42.5%を占め中でもクッションが37点と最も多かった。続いて服飾品が69点(27.1%)で、バッグが44点を占める。刺繍や編み込みなどの技法で制作年やイニシャル、名前、地名等が表されているものや、印刷物が収納されている資料が27点あり、制作の背景を知る手がかりとなる。書かれた言語はドイツ語で、また制作年で最も古いものは1817年、新しいもので1878年であった。複数の名前やイニシャルが読み取れることから、一人のために作られたものではないと考えられる。いずれにせよ、実際に使用していた形跡が随所に見られることから、家中の様々なものをビーズで飾って楽しんでいた様子がうかがい知れる。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205557356160
  • NII論文ID
    130006955510
  • DOI
    10.11428/kasei.58.0.243.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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