ヒトにおける血漿セラミドと動脈硬化危険因子との関係

DOI
  • 市 育代
    奈良女子大学生活環境学部食物栄養学科
  • 小城 勝相
    奈良女子大学生活環境学部食物栄養学科

書誌事項

タイトル別名
  • Association of ceramides in human plasma with risk factors of atherosclerosis

抄録

<目的> 動脈硬化発症には血管内皮細胞や平滑筋細胞における細胞死とアポトーシスのバランスの破綻が関与している。セラミドは細胞膜を構成するスフィンゴ脂質で、強いアポトーシス作用がある。最近、動脈硬化病変に多い凝集したLDLは通常のLDLに比べてセラミド含量が高いことが報告されている。従って、動脈硬化発症にセラミドのアポトーシス作用が関与している可能性がある。そこで今回、ヒトの血漿セラミドと動脈硬化危険因子との関係について検討を行った。また以前、LDLのラジカル反応によって生じるapoBの酸化物(B-ox)がヒトの血漿中に存在し、それらが動脈硬化指標と相関関係にあることを報告していることから、B-oxとの関係についても検討した。<BR> <方法> 対象者は健康診断の受診者100名である。セラミドは脂質抽出後、LC-MS/MSにて測定した。血漿中のB-oxはWestern blotにて測定した。<BR> <結果> 血漿セラミドは血清脂質や収縮期血圧と正の相関がみられた。またLDLが170 mg/dl以上の高LDL血症者は、健常者やLDLが140-169 mg/dlの中度のLDL血症者に比べて血漿セラミドが著しく高かった。従って、より高いレベルのLDLと血漿セラミド増加は関係があることが示唆された。また、セラミドはB-oxとも正の相関がみられた。以上より、血漿セラミドはLDLだけでなく、その酸化物とも関係があることが示唆された。本研究は(奈良女大)宮下矢誉衣、中原佳代子、日高篤子、沓掛佐保子、井上佳奈、(九大医)三輪宜一、(埼玉社会保険病院)丸山太郎、(国際医療福祉大学熱海病院)都島基夫、(国立循環器病センター)斯波真理子との共同研究である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205557587072
  • NII論文ID
    130006955815
  • DOI
    10.11428/kasei.59.0.236.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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