日常生活場面における高齢者に対する不適切な対応の実態

書誌事項

タイトル別名
  • The Mistreatment of Elderly People in Daily Life

説明

目的 超高齢社会を迎え、高齢者に対する差別や虐待が問題となっている。日常生活場面で高齢者に対して意識的・無意識的になされている「不適切な対応」を取り上げ、その実態と関連要因を検証し、虐待・差別に生み出す社会構造の解明を目的とした。<BR> 方法<不適切な対応は「信頼関係の上に築かれた予期しうる適切な行為を欠いている事態、行為」として先行研究成果を参考にし、15項目によって指標化した。調査内容は基本属性、不適切な対応のほか、介護経験、扶養規範、加齢意識、生活満足感などである。調査は調査会社に依頼して個人サンプルデータから近畿二府四県×都市規模別の40歳以上推定母集団を算出し、40歳以上を5歳階級別男女16グループに分け、各115名の配分を考えて対象者を抽出し、計1840人に対して郵送留置法で配票、1104票回収。2006年1-3月実施し、有効回収率60.0%。<BR> 結果および考察 (1)日常生活場面で呼称のほか、拒否・無視・子ども扱い行為が30-5%の割合で行われている。(2)男性のほうが女性よりも有意に不適切な対応を行っている。女性は学歴、義母の介護経験、加齢意識によって、男性は健康状態、実母の介護経験、介護愛情規範、加齢意識、生活満足感によって有意に影響を受けている。以上から高齢者差別・虐待におけるジェンダー構造の存在、さらに嫁や息子としての介護経験が一般高齢者への不適切な対応に影響を及ぼすことは虐待の未然防止に向けて高齢者教育の必要性が指摘できる。<BR> 本研究は平成16-18年度基盤(C)「現代社会における年齢差別(エイジズム)の実態解明と高齢化教育の推進」16500475(研究代表者:杉井潤子)のデータをもとにしている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205558137216
  • NII論文ID
    130006956579
  • DOI
    10.11428/kasei.60.0.138.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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