なまず食の歴史~吉川~

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タイトル別名
  • Catfish,traditional food in Yoshikawa.

抄録

埼玉県は「なまず」養殖においては日本一の生産量を誇り、特に吉川市は「なまずの里」として知られている。古くは平安時代から干ばつの際などには堀から出てきたなまずを捕って食べたという伝説もある。なまずは全国的に分布しているが、昔からなまずが食べられていたのは、川の流域や山里、低地帯であり、なかでも関東北部と滋賀県、九州北西部では様々な調理法がみられる。なまず料理の主なものは、天ぷら、たたき、蒲焼、洗い、味噌汁、すっぽん煮などがあげられるが、吉川独特の調理法は「たたき揚げ」である。また、かまぼこはなまずを使ったものが最初だといわれている。 吉川市は低地が多いこともあって、川の水を引き込んだ用水路や小川が各所に流れている。こうした水場は様々な生物の住処になっており、1980年代まではなまずはいたるところでその姿を見ることができた。しかし、吉川も急速な都市化が進み、いつしかなまずのことも忘れられていた。 近年自然の大切さが叫ばれる中で、かつての吉川の環境が見直され、古くからこの地で親しまれてきたなまずを吉川市のシンボルとして「町づくり」を進めていこうという気運が高まった。活動は様々であり、先ずはJR武蔵野線吉川駅前広場への全長5mの金色のなまずのモニュメントの設置、市民バスになまずの絵をペイント、なまずの里マラソンの開催などがあげられるが、更には地元商工業者らにより、なまず製品(なまずコロッケ、なまずせんべい、なまず饅頭等)が開発された。伝統の料理などを大切にしながら、一方で新しいものも意欲的に開発するなどして先ずは市民の意識を高め、それによって郷土の文化を守っていこうとしていることが分かった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205558685952
  • NII論文ID
    130006957123
  • DOI
    10.11428/kasei.60.0.317.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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