胡椒中のラジカル種の検出とESRスペクトルの飽和挙動

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  • Detection of radicals in pepper and saturation behavior of ESR spectrum.

抄録

目的:香辛料の殺菌技術として放射線照射が国際的に認知されている。放射線照射は殺菌効果だけでなく香辛料の調理特性として重要な香りや色の劣化を最小限に留めることができる。しかし、放射線照射によってラジカルの発生が危惧されている。本研究では香辛料のうち黒胡椒を試料として用い照射食品中のラジカル定量1)の公定法である電子スピン共鳴(Electron Spin Resonance spectroscopy;ESR)法によるラジカル種の検出を行い、ESRスペクトルの飽和挙動について検討した。 方法:試料は日本で市販されている黒胡椒及び白胡椒(全粒及び粉末)を用いた。試料を300mgを秤取し、ESR試料管(99.9%石英ガラス、英光社製)に封入した。すべてのESR測定は、ESR分光器(JES-FE1XG,日本電子KK)を用いて行った。測定に用いたマイクロ波の周波数は、Xバンド(9.3GHz)である。共鳴磁場は、250と320mTとし掃引磁場は500と100mTを用いた。胡椒中のESRスペクトルの飽和挙動を検討するためにマイクロ波磁場を変化させ逐次飽和曲線を求めた。 結果:黒胡椒のESR信号はg=2.0を中心とする六本線、同じg値の一本線、及びg=4.0での一本線の3成分であった。第一の信号は超微細結合定数が7.4mTであることからMn2+による超微細構造線と同定した。第二の信号は有機フリーラジカル由来の信号と同定した。第三の信号はFe3+による遷移金属イオンと同定した。各マイクロ波磁場における逐次飽和挙動からこれらのラジカル種が異なる挙動を示すことがわかった。ピーク強度の変化は有機フリーラジカルの信号ではMn2+やFe3+に比較し顕著な減少傾向を示した。ESR信号は胡椒の種類が違っても本質的に同一であった。1)市井茜ら,RADIOISOTOPES,52,4(2003)in press.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205559191168
  • NII論文ID
    130006957432
  • DOI
    10.11428/kasei.55.0.147.1
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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