狩野永敬筆「朝鮮通信使行列図屏風」(ハーバード大学サックラー美術館蔵)にみる服飾の考察

DOI
  • 鄭 銀志
    日本女子大学 家政学部 被服学科

書誌事項

タイトル別名
  • Korean Clothing in the Procession of the Korean Embassy Folding Screen by Kanō Eikei Held by the Arthur M. Sackler Museum, Harvard University

抄録

京狩野家第四代当主であった狩野永敬(一六六二~一七〇二)は、早くから京狩野家の後継者として抜群の力量を発揮し、天和度に訪れた朝鮮通信使一行の様子を、「朝鮮通信使行列図巻」と「朝鮮通信使行列図屏風」に描き遺し、また朝鮮へ贈呈する屏風絵の製作にも携わった絵師である。本研究では、永敬若年期の作品であるハーバード大学サックラー美術館所蔵「朝鮮通信使行列図屏風」を取り上げる。本屏風は、天和二年(一六八二)に来日した朝鮮通信使一行を写実的な画風で描いたもので、制作年代が推定できること、また、通信使一行の各職分別の服装が詳しく描かれていることから、朝鮮通信使服飾の研究において極めて重要な位置を占める史料である。<BR> 周知のように、近世を通じて朝鮮通信使は十二回に亘り来日しており、天和度朝鮮通信使はその第七回目に当たる。本研究では、朝鮮通信使の服飾を、当屏風から職分別に考察し、その上で、当時の朝鮮時代の実物資料、また、日朝両国における文献史料との比較・考察をおこない、天和度にみる朝鮮通信使服飾の一面を明確にすることを試みた。<BR> その結果、文官の公服と小童の服装からは、朝鮮風と日本風の折衷がみられたが、その他の職分別にみる服飾は、当時の朝鮮中期におけるものとしてほぼ写実性に沿って描かれていたことが確認された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205559232128
  • NII論文ID
    130006957492
  • DOI
    10.11428/kasei.60.0.243.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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