小豆抽出物が細菌の発育に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effect of extracts from azuki beans on growth of bacteria

抄録

目的 小豆(Vigna angularis)の種皮にはポリフェノール(PP)が多く含まれており、その量は小豆の種皮色により大きく異なることがわかっている。PPの一種である緑茶カテキン類や紅茶テアフラビン類は、食中毒原因細菌や耐熱性芽胞に対する抗菌作用が報告されている。しかし小豆PPはこれまで餡の加工や品質評価に関連した知見が多く、抗菌作用についての報告はほとんどない。そこで本研究では、PPを多く含む小豆抽出物が細菌の発育に及ぼす影響を検討した。<br>方法 小豆は平成12・13年北海道産の赤、白、黒および緑小豆を使用し、4倍量の蒸留水で25℃・24時間抽出後、遠心分離し、濾過して使用した。PP量はFolin-ciocalteu法で測定した。抗菌効果は8種の細菌について寒天平板希釈法により検討した。また赤小豆抽出物を含む液体培地にStaphylococcus aureusを接種し、24時間後の生菌数を計測した。さらに、S.aureusおよびEscherichia coliの培養菌体の懸濁液に赤小豆抽出物を添加し、濁度を測定した。<br>結果 PP量が白小豆と比較して有意に高かった赤、黒および緑小豆抽出物は、S.aureusVibrio parahaemolyticusおよびAeromonas hydrophilaの発育を顕著に抑制したが、白小豆抽出物に発育抑制効果は見られなかった。PP量と24時間後のS.aureusの生菌数には負の相関が見られた。したがって、小豆PPは抗菌作用を有することが示唆された。また赤小豆抽出物はS.aureusの菌体を急速に凝集させたことから、抗菌作用にはPPによる菌体の凝集が関連しているものと推察された。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205559344128
  • NII論文ID
    130006957640
  • DOI
    10.11428/kasei.57.0.72.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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