砂時計腫様進展形態を呈した胸椎海綿状血管腫の1例

説明

われわれは非常にまれとされている砂時計腫様進展形態を呈した胸椎海綿状血管腫の1例を経験したので報告する。【症例】60歳、男性。主訴は両足底部のしびれ感と歩行障害。現症は両足底部のしびれ感から出現し、3ヵ月後には歩行障害が現れ、その後階段昇降が困難となり、発症5カ月後に入院した。入院時の神経学的所見は、下肢深部反射亢進し、足関節クローヌスは陽性であった。両下肢筋力は軽度低下を示し、鼡径部以下に知覚低下を認めた。胸椎CT像にて第9胸椎椎体後方部の骨梁構造の不整や消失、椎体後壁の圧潰を認めた。MRI画像では第9胸椎椎体後方部と脊柱管硬膜外を占拠し、左椎間孔外側に進展した砂時計腫を認め、脊髄は右側に圧排偏位していた。腫瘍成分はT1強調像で等信号、T2強調像で高信号を呈した。砂時計腫分類Eden type 3であった。手術は第9胸椎椎弓切除と片側椎間関節切除を行い、腫瘍を全摘出した。病理診断は海綿状血管腫であった。固定は椎弓根螺子による第8から10胸椎後方固定を行った。術後症状は軽快した。【考察】海綿状血管腫は椎体内にしばしば発生するが、なかには硬膜外に進展し脊髄症状を呈する例が文献上散見される。しかし本例の如く、硬膜外から椎間孔外に進展する砂時計腫様の進展形態は非常にまれで、ほとんど報告例がない。本症例は椎体後壁近傍に発生したため、容易に後壁を侵蝕して脊柱菅内に進展し、さらに骨性抵抗のない椎間孔内外に成長したことにより、特異的な進展形態を示したと考察した。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205559595776
  • NII論文ID
    130006957735
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.313.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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