Sural flapを用いた下腿皮膚欠損の治療

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抄録

【はじめに】下肢遠位の皮膚欠損は腱、骨や内固定材料の露出を伴い治療に難渋する。sural nerveに伴走するsuperficial sural arteryを含む筋膜皮弁を8例におこなったので報告する。【対象および方法】 2000年から2004年に、外傷または術後創感染で膝蓋骨前面、下腿前面、足関節果部の皮膚壊死を起こした患者8例に対し、superficial sural artery を用い、順行性筋膜皮弁を2例、peroneal arteryの穿通枝を用いた逆行性島状筋膜皮弁を6例に行った。【結果】術後follow-up期間は3ヶ月から3年7ヶ月で、平均1年9ヶ月であった。平均年齢は55歳であった。皮弁の大きさは、順行性で最大4×20cm、逆行性で3.5×9cmであった。全例に足部外側の知覚鈍麻を生じたが、それに対する訴えはない。順行性の1例にneuromaの発生を認め、切除した。皮弁採取部は全例一期的に縫縮可能であった。【考察】遊離植皮は、適応が限られ、microsurgeryなどの特別な手技が必要とすることもあり、peroneal flapは主要動脈を犠牲にしなければならない。それと比べ、sural nerveおよび皮膚を栄養するsuperficial sural arteryを用いた筋膜皮弁は手技が容易で主要血管を犠牲にしない。sural nerveによる知覚鈍麻も日常生活ではほとんど気にならない。踵部、足関節果部、下腿遠位には逆行性、下腿近位には順行性のsural flapが大きな皮膚欠損に対しても安全にかつ容易に行うことができ、有用であった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205560072832
  • NII論文ID
    130006957987
  • DOI
    10.11359/cjaost.105.0.246.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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