昭和時代における食用油脂及び油脂を用いた料理に関する調査

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タイトル別名
  • Research on cooking oils and fats during the showa period

抄録

目的 昭和時代初期に、我が国の食用油脂及び油脂を用いた料理は新聞記事やラジオ放送などを通して普及した。マスメディアによる油脂類の情報とその啓蒙は当時の食生活に影響を及ぼしたが、当時の人々の生活状況には格差があり、一般家庭の日常食の実態は明らかになっていない。そこで、大正末~昭和初期の日常食に着目し、食用油脂及び油脂を用いた料理の実態と各地域の特徴を明らかにした。<br>方法 「日本の食生活全集全50巻」を資料とした。全掲載料理について料理に使用された油脂を地域別に抽出・精査した。使用油脂の種類、調理法、主材料に分類・整理し特徴を検討した。<br>結果・考察 (1)全料理数52,000件中、油脂を使用した料理は1.5%弱(741件)で、日常の家庭料理全体から見た食用油脂の使用頻度は極わずかであった。(2)料理に使用された油脂類の約62%が植物性油で、中でも菜種油の使用頻度が最も高く、地域によりエゴマ油、ゴマ油などを用いていた。動物性脂は全体の38%で、豚脂の使用頻度が高かった。(3)豚脂は沖縄、鹿児島、兵庫県、えごま油は山形、宮城県などの東北地方で使用されていた。北海道ではバターの使用が多く、食用油脂の種類及び調理法には地域性が認められた。(4)全国的に和風料理が中心で、少量の油で食材を炒め煮した料理が多かった。しかし、都市部の地域ではバターや豚油を用いた洋風料理も出現し、油脂を用いた料理が多様化する兆しが伺えた。 <br>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205560349568
  • NII論文ID
    130005484399
  • DOI
    10.11428/kasei.67.0_33
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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