クリスチャン・ディオールの創作過程に関する一考察

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • A study on Christian Dior's design
  • -Through his designs in 1950-
  • ―1950年のデザイン画を通して―

抄録

【目的】クリスチャン・ディオールは、1947年パリ・コレクションにおいて「コロール・ライン」と名付けたドレスを発表しモード界にデビューを果たした。花を模した女性らしいシルエットは、大戦後の女性服に大きな衝撃を与え、「ニュー・ルック」の名で歴史に残ることとなった。病死する1957年までの10年間、ラインの変化によるデザインを展開し、その呼称は現代のファッションにも受け継がれている。ディオールのデザインといえばラインに注目されることが多いが、模様や色遣いにも特徴があることが知られている。本研究は、1950年にディオールが描いたとされる未整理のデザイン画作品群の分析を行うため、色彩や模様のモチーフなどに着目し創作過程を探る。<BR> 【方法】資料の概要をまとめ、下絵、色彩、模様などの分析を行うとともに、文献資料を用いてデザイン画の検証を試みる。<BR> 【結果】デザイン画は77点の作品群で、これらが4群に分けられ「夏」「夏の浜辺」「秋」と、白紙の表紙が付けられている。各表紙には共通して、「1950年のシルエットの下絵」と書かれ、ディオールの1950年の夏から初秋にかけてのデザインであると考えられる。1950年の春夏および秋冬コレクションのテーマはいずれも直線的なシルエットであるが、本資料に描かれたシルエットは全点コロール・ラインであった。また、デザイン画には全身描かれているが、スカート部分のみが丁寧に着色されている。よって、一般販売のためのスカートの色と模様の検討のためのデザイン画であろうことが推察できる。色彩は、色数を抑え慎重に選んだ調和する色同士の組み合わせで構成されていた。模様に用いられたモチーフは、シーズン特有のものとシーズンを超えて使われているものとがあることが分かった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205561295616
  • NII論文ID
    130006958698
  • DOI
    10.11428/kasei.63.0.251.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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