認知症グループホームにおける料理活動が認知症周辺症状の改善に及ぼす影響

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タイトル別名
  • The effects of cooking activity on elderly people with senile dementia in a group home to improve their peripheral symptoms in Japan

抄録

【目的】料理活動は、人をいきいきさせ、豊かな人間関係を構築し、自立支援や認知症周辺症状緩和等、高齢者の生活の質(QOL)の向上を期待できる。認知症高齢者でも適切な支援があれば料理活動の継続が可能である。しかしながら、これらの方法論およびその効果評価法は十分に定まっていない。そこで本研究では、認知症高齢者グループホームで料理活動の介入調査を行い、認知症周辺症状の改善の効果とその評価方法の検討をおこなった。<BR> 【方法】調査対象は奈良市内の認知症グループホームの入居者9名で、うち料理活動参加者4名を介入群、不参加者5名を非介入群とした。期間は、平成22年9月~10月、介入回数は計8回とした。介入前後の対象者の評価は、行動観察式で認知症の重症度を評価するCDRスケール、質的差異を評価するGBSスケールを用いた。またQOLの評価は生活健康スケールでおこなった。さらに料理活動の全体評価(メニューの適合性、メンバーの組み合わせ、会話の活発さ、総合評価)及び個人評価(表情、参加意欲、集中力、発言、他の参加者との交流、包丁の使用)も行った。<BR>  【結果】介入群のGBSスケールの総合点数は介入後で9.1%減少し、知的機能の改善がみられた。特に「場所」および「時間」に関する見当識障害に有意な改善がみられた(p<0.05)。またCDRスケールの総合点数は介入後で16.6%減少し、記憶・見当識に有意な改善がみられた(p<0.01)。包丁の使用は回を重ねるごとに上達がみられ、「少し危ない」から「包丁さばきがうまい」の段階まで上昇した。調理操作を役割分担することにより、潜在的に持っていた調理スキルを引き出せ、「自信の回復」や「コミュニケーションの増加」につながった。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205561522048
  • NII論文ID
    130006958790
  • DOI
    10.11428/kasei.63.0.172.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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