凍結含浸法による調理過程における食品衛生の指標細菌の消長

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タイトル別名
  • The Behavior of Bacteria during the Process of the Cooking by an Enzyme Infusion Method under Reduced Pressure after Freezing

抄録

【目的】凍結含浸法とは、食材を凍結して細胞間隙を広げた後、解凍し、減圧下で食材内部と外部の物質を置換させ、酵素の作用により食材の形状を崩さず軟度を上げる新規技術である。本法は介護食への応用などで大いに注目を集めているが、その調理過程の食品衛生学的評価は殆どなされていないため、今回はこの点を検討した。 【方法】(1)ごぼう、れんこん、人参、里芋、たけのこを原材料として野菜の煮物を5人分調理した。ただし、里芋とたけのこは、ブランチング処理済みのものを用いた。調理は、原材料 →下処理(洗浄、皮むき、カット)→ 下茹で(里芋の芯温が75℃で1分間以上になるように加熱)→ -5℃へ急速凍結 → 真空包装 → 解凍 → 再真空包装 → 2~3℃で48時間の冷蔵保存(酵素処理)→ 加熱(スチームコンベクションオーブンで90℃・10分間)→ 盛り付けの順序で行われた。(2)全ての調理工程において、一般生菌数、大腸菌群数、嫌気性菌数および好気性芽胞形成菌数を測定した。 【結果および考察】原材料から下処理までの各工程における各細菌の検出状況は、過去に報告されたデータと大きな差異はなかった。また、下茹で工程以降は、いずれの細菌項目でも102個/gオーダー以下の低い菌数あるいは不検出のレベルを維持したまま仕上がり品となっていた。一方、真空包装工程以降の食材が真空または低酸素条件になる過程においても、嫌気性菌の増殖は認められなかった。以上から、本法による調理では、特に下茹で工程における加熱が食品衛生管理上、非常に重要であり、この工程の管理が確実なら安全性は十分に確保できるといってよい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205561959808
  • NII論文ID
    130006958974
  • DOI
    10.11428/kasei.62.0.5.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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