膝荷重式歩行補助具の試作

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抄録

目的 アキレス腱断裂や足関節捻挫、足部の骨折等により、歩行時に足部に荷重出来ない場合の移動手段として、松葉杖歩行、車椅子移動がある。松葉杖は上肢筋を多用し手根部で加重するため、疲れや手根部の痛みを起こす場合があるし、大振り歩行や小振り歩行時にバランスを崩すことがある。車椅子移動は健側下肢への荷重が行われなくなる。患側の膝・股関節は異常がないため、早期から膝・股関節を用いた移動方法が望まれる。本研究は膝関節支持での移動補助具の開発と松葉杖歩行との比較検討することを目的とした。方法 試作した移動補助具はポータブルチェアを改良し背もたれ部が上肢サポート部、座面部が膝の支持部とし、全体を台座に固定したローラー部からなる。膝の支持部は高さが調整できるロッド付きである。試作した移動補助具と松葉杖歩行の比較は10m歩行路を5往復し計100m歩行し、心拍数、酸素摂取量摂取量、移動時間を測定した。被験者は4名の健康成人(平均年齢24歳)である。被験者は心電計(Life scope6: 日本光電)送信機を装着し、酸素摂取量測定用マスク(TEEM100: 日本光電)装着し坐位にて安静後、左足の膝を移動補助具にのせ、上肢サポート部を軽く上肢で支持し快適移動速度で100m移動し、終了後、椅子坐位安静をとり、開始前の心拍数に戻ったら、杖歩行を100m行った。安静後、同様の測定を行い、それぞれの移動を2回づつ行った。結果 4名が2種類の移動方法を2回ずつ行えた。歩行前と歩行終了時の心拍数増加率は、試作補助具48.8% 、松葉杖73.9%であり松葉杖では心拍数増加が大きかった。酸素摂取量は、試作補助具3.5METs 、松葉杖5.2METsであった。100mの移動時間は試作補助具129秒 、松葉杖141秒であった。考察 試作した歩行補助具は松葉杖歩行に比較して、身体への負荷量は軽度であったし、初めて使った人も使用に短時間で慣れた。また、膝周囲筋、股関節周囲筋、大腿骨への荷重により、廃用性萎縮の予防が期待できる。改造すべき点としては、ハンドル部でのブレーキ装置、直進性の向上、スピード抑制、油圧系による高さ調整が考えられる。試作した補助具は歩行時に足部に荷重出来ない場合の病棟移動には最適と考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205562359808
  • NII論文ID
    130004577171
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.505.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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