当院入院患者の脱臼肢位の理解度について
書誌事項
- タイトル別名
-
- 人工股関節置換術(THA)・人工骨頭置換術の患者を対象として
説明
【目的】<BR>当院は股関節疾患が多い。THA・人工骨頭置換術後では脱臼肢位に配慮した日常生活を送らなければならないが、リハ中に指導を行うも理解度を把握するのは難しい。そこで、脱臼肢位チェック表を独自で作成し、当院入院中のTHA・人工骨頭置換術後患者の脱臼肢位の理解度を調査したので報告する。<BR>【方法】<BR>対象はH17年6~7月に当院入院中のTHA、人工骨頭置換術後の患者20名(男性4名 女性16名)。年齢は65.7±9.4歳。術側は右9名、左11名うち、両側:6名。脱臼回数は0回:19名、3回:1名、手術歴は新:19名、再置換:1名。<BR>方法は、対象者に脱臼を招きやすい日常生活動作を含めた33枚の写真を提示し、その正誤を回答してもらう。頻度は週1回、最大4週間で全問正解者はその週で終了とした。また、初期時のコース立方体テストと長谷川式スケールを検査し正解率との関係を調べた。<BR>【結果】<BR> (1)各問題の正解率の分布<BR>左右共に正解率の低いものは、(1)立位で術側の下の床の物拾い動作(2)術側を内股にした床からの立ち上がり動作(3)座位で術側後方へ振り向く動作だった。<BR>(2)学習効果<BR>統計処理はウィルコクソン符号付順位和検定を用いた(P<0.05)。1回目と4回目の正解率は有意差あり、今回は、3回目で全問正解が最も多かった。<BR>(3)IQ・HDS-Rと正解率との関係<BR>統計処理は、スピアマン順位相関係数検定を用いた。1回目のIQとの関係は相関係数0.59(P<0.05)、HDS-Rとの関係は相関係数0.34(P>0.05)。4回目のIQとの関係は相関係数0.49(P>0.05)、HDS-Rとの関係は相関係数0.62(P<0.05)。<BR>【考察】<BR>(1)基本的な動作(内股・ベッド上の動作)は正解率が高いが、床からの立ち上がりや床の物拾い等、日常生活に沿った動作は低いことがわかった。従って、退院後の生活を想定した安全な動作の指導が必要だと考える。<BR>(2)調査開始時は対象者の大多数が脱臼肢位の理解度が曖昧であったが、繰り返し指導したことで正解率の向上が見られた。つまり、繰り返しの指導が重要であると考える。<BR>(3) IQは学習効果に関係がなく、HDS-Rは関係があることがわかった。従って、初期時にHDS-Rが低い人はリハ時だけでなくチーム全体で注意する必要があると考える。また、IQは学習効果に関係ないが、1回目の正解率とIQに相関があった。つまり、初期時より脱臼肢位に対する十分な指導が行われていなかったことがわかる。従って、その場での口頭指示だけでなく、リハ中写真等を利用して繰り返し指導が必要だと考える。<BR>【まとめ】<BR>脱臼の予防には、その場での口頭指示だけでなく、リハ中写真等を利用して日常生活に即した動作を繰り返し指導する必要がある。<BR>
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2005 (0), C0366-C0366, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205562442624
-
- NII論文ID
- 130004579295
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可