シンスプリントに対する臨床的治療展開の検討
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説明
【はじめに】<BR>一般にシンスプリントとはジャンプやランニング等の動作の繰り返しにより脛骨内側後面の痛みを訴える疾患とされ、膝関節外反、下腿内旋、距骨下関節回内位、足部過回内によるひらめ筋もしくはその筋膜の伸張刺激が原因という説が多く、治療は内側縦アーチを強調する足底板が代表的である。本研究では患側ジャンプでの疼痛誘発テスト(Hop test)を使用し、疼痛抑制されるアライメントや肢位を評価し先行研究と比較し臨床的治療展開について検討した。<BR>【対象および方法】<BR>対象は当クリニックでシンスプリントと診断された21足(17名,男8名 女9名)年齢15.7±1.1歳とした。<BR>まずHop testで疼痛を評価し、次に伸縮50mmのテーピングで距骨下関節を回外および回内方向に誘導した場合。エラテックス10mmのテーピングで下腿を軽いテンションで内旋および外旋方向に誘導した場合の各々で疼痛の変化を比較した。疼痛評価はVAS(100mm幅)を使用。<BR>【結果】<BR>まず距骨下関節誘導では回外誘導で15名71%が、回内誘導で4名19%が疼痛抑制され、2名10%は変化がなかった。下腿部誘導では内旋誘導が3名14%、次いで外旋誘導では13名62%が疼痛抑制され、5名24%は変化が認められなかった。<BR>さらに距骨下関節回外誘導改善群の内、下腿誘導の改善方向が、外旋12名80%、内旋1名6.7%、どちらでもないが2名13.3%であった。一方、回内誘導改善群では下腿外旋方向が1名25%、内旋方向が2名50%、どちらでもないが1名25%であった。距骨下関節誘導で変化なし群では、下腿部誘導でも変化は認められなかった。<BR>また、距骨下関節誘導よりも下腿部誘導で改善した被験者は9名42%、逆に下腿部誘導よりも距骨下関節誘導で改善した被験者は6名29%であった。<BR>【考察】<BR>シンスプリントは内側縦アーチのような距骨下関節を回外方向に誘導する足底板の報告は多数ある。本研究でも7割が回外方向に誘導した方が改善された。しかしながら約2割の被験者では回内誘導で改善し、シンスプリントだからといって必ずしも内側縦アーチを強調し回外誘導する足底板を処方するのではないことを示唆した。<BR>距骨下関節と下腿部を比較すると、距骨下関節回外誘導改善群では下腿部外旋誘導で改善した被験者が多く、Mannが報告した運動連鎖を再確認させられた。また、約3割の被験者が距骨下関節よりも下腿部誘導で改善が認められたのは興味深く、このようなケースには足底板以外にも下腿部のテーピングも併用するもの効果的と思われた。<BR>以上から距骨下関節または下腿部のどこで、どのようなアライメントで疼痛抑制されるかを評価してから治療展開すべきと考えている。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), C0429-C0429, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205562550912
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- NII論文ID
- 110004994790
- 130004579358
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可