スパイロメータを用いたBITIの臨床的測定法の検討
この論文をさがす
説明
【はじめに】呼吸耐力の評価方法として, BITIの有用性が示されている.この研究では特定の換気モニターが使用され,他の施設での応用に難がある.そこで今回,理学療法場面では比較的一般的で,簡易に測定可能なスパイロメータを使用してBITIの測定を試み,若干の知見を得たので報告する.<BR>【対象】20歳代女性健常者10名を対象とした.平均年齢は24.1(20~28)歳,平均身長は157.8(151~164)cm,平均体重は48.9(46~53)kgであった. なお,対象者には本研究の趣旨を十分に説明し,承諾を得た.<BR>【方法】BITIは(Ti:吸気時間/Ttot:一呼吸サイクルの時間)×(TV:一回換気量/VC:肺活量)で算出した.測定姿勢は仰臥位と端坐位とした.スパイロメータはチェスト株式会社製,マイクロスパイロHI-298を使用した.液晶表示器をビデオカメラで撮影し,画像処理にて,Ti値,Ttot値を解析した.心拍数が安定したところで8回の安静呼吸を行わせ,その呼出量の平均値をTV値とした.Ti値は呼気終了時から次の呼気開始時までの測定グラフ静止時間を検出し,Ttot値は呼気開始時から次の呼気開始時までの時間を検出した.安静呼吸後,VCを測定した.測定回数は各2回とし,各々のBITIの平均値を算出した.比較は,古賀ら(2003)の示したデータ,BITI値,仰臥位0.050±0.009,座位0.057±0.016,Ti/Ttot値,仰臥位0.416±0.056,座位0.407±0.031,TV/VC値,仰臥位0.138±0.036,座位0.125±0.023を用いた.<BR>【結果】BITI値は,仰臥位0.112±0.022,座位0.101±0.026であった.Ti/Ttot値は,仰臥位0.602±0.056,座位0.573±0.066であった.TV/VC値は,仰臥位0.187±0.037,座位0.179±0.047であった.座位と仰臥位のBITI平均値の間には,t検定にて有意な差が認められた(p<0.001).<BR>【考察】全例において座位の方が仰臥位より低いBITI値を示し,その数値には大きな差を生じたが,先行研究とほぼ同等の傾向を示すことができた.VC値は,性差の関与が大きいため,TV/VC値は高値を示したと推測される.今回使用したスパイロメータは,時間的要素を測定するものではなく,それに適した他の機器による測定との間の誤差は否定できない.しかし,本研究の測定値の間に誤差は極めて小さく,信頼性されうる測定と言える.今後,被検者数を増やすことで信頼性を高め,さらに他機器との妥当性を検討することを目的に追研究を行っていく.<BR>
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2005 (0), A0832-A0832, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205562577024
-
- NII論文ID
- 110004995193
- 130004578910
-
- NII書誌ID
- AN10146032
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可