脛骨高原骨折における理学療法治療成績の検討
書誌事項
- タイトル別名
-
- ―関節可動域を中心に―
この論文をさがす
説明
【はじめに】脛骨高原骨折は,垂直方向の外力ならびに外転または内転外力の合併によって生じ,観血的治療の適応は,3から10mm以上の関節面陥没と報告されている.また,脛骨高原骨折は関節内骨折であり,受傷外力・術後固定期間による軟部組織の損傷・癒着や関節面不整などによる関節可動域(以下ROM)制限を生じることも少なくない.そこで,今回脛骨高原骨折により観血的治療を施行した7症例についてROMを中心に理学療法(以下PT)成績を検討したので報告する.<BR>【対象】2003年8月から2004年11月までに観血的治療を施行した脛骨高原骨折7例・7膝(右:3膝,左:4膝)、性別は男性3名・女性4名、平均年齢は59.9±16.4歳、受傷機転は転倒3例・転落2例・交通事故1例・打撲1例であった.骨折型分類はAO分類を用い,A2+A1:1例・B1:1例・B3:1例・B3+A1:1例・C3:1例・C3+A1:2例でうち4例は脛骨粗面または顆間隆起の剥離骨折を伴っていた.観血的治療は,全例plate固定で脛骨粗面剥離骨折を伴う3例についてはCCS固定,うち1例はwiringが追加された.<BR>【方法】1)受傷から手術までの期間2)術後固定期間3)荷重までの期間4)PT終了期間5)獲得ROM(1)荷重開始時屈曲・伸展(2)終了時屈曲・伸展6)Houl治療成績評価(1)荷重開始時(2)終了時7)疼痛所見について検討した.<BR>【PT】1)浮腫・腫脹管理2)選択的大腿四頭筋の収縮・ストレッチ3)膝蓋骨モビライゼーション4)股関節内・外転運動5)腸脛靭帯ストレッチ6)持続的膝関節伸展7)相反抑制下での膝関節屈曲運動8)半月板可動性運動9)asisstive ROM<BR>【結果】1)9.3±5.5日2)17.0±5.5日3)36.0±13.7日4)69.4±27.1日5)(1)133.6±12.5°・-2.1±5.7°(2)149.3±7.9°・-0.7±1.9°6)(1)good4例,excellent3例(2)good1例, excellent6例7)膝窩部痛5例(71.4%)・内側静的支持機構圧痛3例(42.9%)・内側動的支持機構運動時痛3例(42.9%).<BR>【考察】今回,脛骨高原骨折においてROMを中心としたPT成績について検討した結果,屈曲・伸展ROM・Houl治療成績とも比較的良好な成績を示し,PTプログラムの有効性が示唆された.結果より伸展ROM制限が残存している傾向にあり荷重接触面積や関節安定性としては改善が必要である.しかし,この制限は受傷機転による内側支持機構の損傷が考えられるため,修復過程を考慮すると荷重時期に合わせて最終伸展域を獲得することが重要である.また,疼痛については,膝窩部痛や内側支持機構の疼痛が比較的高率でみられており,PT実施時に所見をとりアプローチすることが重要だと考えられた.今後,タイプ別・剥離骨折の有無などによるPT期間・獲得ROMの相違やPTプログラムなどについて検討していく必要があると思われる.
収録刊行物
-
- 理学療法学Supplement
-
理学療法学Supplement 2004 (0), C0363-C0363, 2005
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205562658944
-
- NII論文ID
- 110004016306
-
- NII書誌ID
- AN10146032
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可