軽度要介護高齢者の履物に関する調査

DOI
  • 坂口 顕
    社会福祉法人春海会 エクセル鞆の浦 リハビリテーション科
  • 金井 秀作
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 玉置 昭平
    社会福祉法人春海会 エクセル鞆の浦 リハビリテーション科
  • 長谷川 正哉
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 陳之内 将志
    水永病院リハビリテーション科
  • 小野 武也
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 大塚 彰
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科
  • 沖 貞明
    県立広島大学保健福祉学部理学療法学科

書誌事項

タイトル別名
  • 第一報

抄録

【目的】高齢者人口の増加に伴い,転倒予防や要介護状態の予防の方策が盛んに叫ばれている.運動機能の向上では筋力トレーニング等のマシンを使った機能訓練やバランス訓練が介護保険分野において進められている.海外ではKoepsellらは裸足もしくは靴下着用では転倒のリスクが増加し,運動靴やスニーカーでは転倒リスクは減少すると報告しているが,国内においては,新野らが転倒に関する疫学調査の中で,転倒を経験した高齢者の半数以上が屋外で靴を履いている時であったと報告している.近年,高齢者向けの履物については,ヒール高をつけトウスプリングのあるもの,下肢・体幹の筋力増強目的の踵なし靴や,足趾の筋力増強目的の健康下駄などの報告がある.理学療法士が病院業務において履物の相談を受けることも少なくないものの,すでに障害を有する高齢者に対してのことが多く,健康増進や転倒予防の観点からは,介護度の軽度な在宅生活者に対して啓蒙を諮る必要があると考える.そこで,まずは要支援・要介護1レベルのデイサービス利用者がどのような履物をはいているのか,またどのような視点でその履物を選択しているかについて調査したので報告する.<BR>【方法】参加協力の同意を得た通所介護利用の在宅高齢者25名(平均年齢84.5歳±5.2,要支援:15名,要介護1:10名)を対象とした.調査方法は面接による聞き取りとした.調査項目は,「靴の種類」「購入決定者」「履いている期間」「選択理由」とし,「種類」については調査者による確認を行った.<BR>【結果】靴の種類はフラットヒールのパンプスが多く(40%),ついでリハシューズ(32%)であった.購入決定は75%の高齢者が自分で選択しており,購入してからの期間は60%が1年間以内であった.選択理由としては脱着の容易さと足にフィットしたが多く,歩きやすさを理由にした人はいなかった.<BR>【考察】要支援該当者の能力としては金銭管理や歩行が自立しており,買い物などで外出する機会も比較的多いため,自分の履くものは自分で購入していることがうかがえた.反面,外出する機会が多いにもかかわらず,歩きやすさを選択理由に挙げる高齢者はおらず,健康増進や転倒予防の観点からの,高齢者本人を対象とした履物に対する啓蒙が必要であると考える.しかしながら履物の機能については「足を保護する」「足の機能を生かす」「足を鍛える」など様々な考え方がある為,高齢者個々の運動機能と履物の関係については今後の検討課題である.<BR>【まとめ】介護度の軽度な高齢者に対して,履物に関する調査を行った.フラットヒールパンプスと市販のリハシューズが多く,高齢者本人が履きやすさを理由に選択していることが多かった.履物に関しては,高齢者本人に対する啓蒙や取組みが今後の課題となった.<BR>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), E1033-E1033, 2006

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205562934016
  • NII論文ID
    130004579564
  • DOI
    10.14900/cjpt.2005.0.e1033.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ