改変した体位排痰法に関する亜区域気管支の解剖学的検討

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【はじめに】 我々は37回本学術大会において体位排痰法の排痰肢位に関し、特に上葉区・上下葉区の旧・修正排痰肢位での亜区域気管支角度を測定し、その結果から排痰肢位に関しては、解剖学的な検討が不十分であったことを報告した。 そこで、本研究では旧・修正排痰肢位の一部を改変した3つの排痰肢位を設定し、その際の亜区域気管支角度を測定した結果から、旧・修正排痰法で定められた肢位との比較、および3つの排痰肢位が有効な排痰肢位となり得るか検討を行った。【方法】 邦人肺標本114個(右肺55、左肺59)を使用し、各々の肺の上葉区(右肺:S1、S2、S3、左肺:S1+2、S3)気管支と上下葉区(S6)気管支を亜区域気管支まで剖出した。 改変した3つの肢位は、(1)仰臥位、(2)右に45度回転させた腹臥位(以下、右3/4腹臥位)、(3)左に45度回転させた腹臥位(以下、左3/4腹臥位)の3肢位とした。 剖出した肺を設定した3つの排痰肢位で定めた位置に置き、各亜区域気管支の床面に対する角度を測定した。【結果・考察】 右上葉区のS1に関しては、仰臥位と右3/4腹臥位を組み合わせることにより、総ての肺でドレナージ効果が期待でき、S2は旧排痰肢位と同様に総ての総ての肺でドレナージが期待できる結果となった。S3では修正排痰肢位と同様の姿勢であることより予想されるドレナージ効果に変化は見られなかった。 右上下葉区に関しては、腹臥位となる旧・修正排痰肢位では18%の肺でドレナージ効果が期待できない結果であったが、右3/4腹臥位ではその割合が2%となり旧・修正排痰肢位よりもドレナージ効果が期待できる結果となった。左上葉のS1+2とS3に関しては、修正排痰肢位と同様の姿勢であることより予想されるドレナージ効果に変化は見られなかった。左上下葉区に関しては、腹臥位となる旧・修正排痰肢位では、31%の肺でドレナージ効果が期待できない結果であったが、左3/4腹臥位では総ての肺でドレナージが期待でき、旧・修正排痰肢位よりもドレナージ効果が期待できる結果となった。 また必要とする排痰肢位も上葉区・上下葉区に関してではあるが、これまでよりも体位変換の少ない3肢位であることから臨床上も用いやすいと考えられる。 以上の結果から、本研究において旧・修正排痰肢位の一部を改変して設定した上葉区・上下葉区を目的とした3つの排痰肢位は、気管支角度の解剖学的な検討において有効な排痰肢位と考えられた。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205562961920
  • NII Article ID
    130004577074
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.418.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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