公的体育施設のバスケットボールコートの摩擦係数
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- sugata yukari
- 広島大学大学院保健学研究科
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- urabe yukio
- 広島大学大学院保健学研究科
Description
【目的】我々は膝前十字靱帯損傷をはじめとした膝関節外傷の予防策を研究テーマとしている。膝関節外傷の発生素因としてintrinsic factor とextrinsic factorが考えられ、両面からの対策が効果をもたらすだろう。今回extrinsic factorの基礎資料とするためにスポーツ選手が使用するインドアコートの摩擦係数を調査したところ、いくつかの重要な情報が得られたので報告する。<BR>【方法】広島市内にあるバスケットボールコートをもつ公的な体育館を調査対象とした。研究の主旨を管理者に説明し同意を得た。床面の静摩擦係数(以下摩擦係数)の計測はFACEモバイル摩擦計SF-1(協和界面科学製)を使用した。バスケットボールコートのサイドラインより内側50cmの位置で5m間隔で5ヵ所を1ヵ所につき3回測定し、全体の平均を求めた。さらにゴール直下2ヵ所をそれぞれ5回測定し、平均を求めた。摩擦計の接触子にはアシックス社より提供を受けたゴム素材1種類を接着した。測定する床面と接触子はアルコール綿で清拭した。測定時の室温、湿度について記録した。<BR>【結果】バスケットボールコートの調査、分析が行えた体育館は41ヵ所だった。測定は2004年7月から11月までの間で、測定時の気温は平均(±SD)25.8±4.5°C、湿度は67.7±9.4%だった。サイドライン付近の摩擦係数は平均1.156±0.117だった。ゴール下の摩擦係数は平均0.976±0.080だった。ゴール下の摩擦係数が有意にサイドライン付近より小さかった(p<0.05)。<BR>【考察】静摩擦係数は床面にシューズが接触し停止するときの摩擦の強さの指標になる。動摩擦係数は床面にシューズが接触し停止する直前の摩擦の強さの指標になり、一般に同じ素材であれば静摩擦係数は大きくなる。今回の測定では静摩擦係数で摩擦係数を代表させた。床面の摩擦係数を決定する要因について考えると、気温、湿度、ワックスの種類、ワックスかけからの経過期間、床面の汚れ、床面の素材などがあげられる。シューズの問題として、アウターソールの素材とデザイン、損耗の程度、汚れ、接触面積、接触方向、接触力などがあげられる。これらの組み合わせにより床面とシューズの摩擦係数は随時変化している可能性も考えられる。今回基礎的資料の収集のために摩擦係数を測定したが、バスケットコート内でもシューズの接触頻度の高いゴール下で摩擦係数が低くなり滑りやすくなっている体育館があることが確認された。このように同じコート内でも摩擦係数が均一でないことはスポーツ選手の固有受容感覚への入力刺激と反応に影響を与えるのではないかということが容易に想像される。今回すべて木造床の体育館で調査を行ったが、今後床材の種類、シューズの素材などをさまざまに変更させて膝外傷予防に繋がるように研究を続けたい。
Journal
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- Congress of the Japanese Physical Therapy Association
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Congress of the Japanese Physical Therapy Association 2004 (0), C1018-C1018, 2005
Japanese Physical Therapy Association(Renamed Japanese Society of Physical Therapy)
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205562967040
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- NII Article ID
- 130005012794
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed