モートン病の足部タイプと足底挿板療法について

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説明

【はじめに】アーチトラブルによって生じる絞扼神経障害の一つにモートン病がある。通常前足部横アーチの低下に伴い発症することが多く、保存療法で症状の軽快しない例では手術が適応となる場合があるが、必ずしも緩解する例ばかりではない。当院におけるモートン病に対する治療の第一選択は、足底挿板によるアーチの是正とし加療している。今回、モートン病における足部タイプと足底挿板処方の考え方について報告する。<BR>【対象及び方法】平成14年3月~平成17年7月までに来院した足部疾患でモートン病と診断された7症例10足(全例女性)平均年齢57.6±9.1歳を対象とした。足部タイプの分類には荷重位X線とフットプリントを用いた。<BR>荷重位X線所見より、側面像は横倉法に準じT値、R値、C値、N値、L値を計測し、背面像においてはM1M2角、M1M5角を計測した。荷重位フットプリント所見では、倉分類にて縦・横アーチ形態の計測および中足骨頭部の圧集積像を確認した。側面像で正常値より低下しているものを扁平足、側面像は正常値であり背面像にて正常値より増大しているものを開張足、側面像で正常値より挙上しているものを凹足、側面像で正常値より挙上しており、背面像にて増大しているものを後足部凹足・前足部開張足とした。<BR>【結果】扁平足は50%、開張足は20%、凹足は0%、後足部凹足・前足部開張足は20%、扁平足傾向10%であった。全例、足底挿板の作製により良好に改善した。<BR>【考察およびまとめ】モートン病の病因は、不明な点が多く定説はないが、真の神経腫ではなく偽神経腫であり、主症状は絞扼神経障害が主体である。解剖学的因子として、第3.4趾間の足底神経は内側足底神経と外側足底神経の分枝が連絡しており、他の趾神経より太く、可動性が少ないため障害を受けやすく、特に踏み返し時にMTP関節の背屈により強く牽引される。臨床では、第3.4趾間だけではなく第2.3趾間の症状を主訴とすることがあるが、いずれにしても、開張された前足部は、足底趾神経の圧迫と牽引を強制され症状が出現するため、前足部の適切なアーチ保持が絞扼神経症状の改善に重要な条件となる。開張した足部は、舟状骨、第1中足骨と立方骨、第4.5中足骨が扇状に広がり、母趾列リスフラン関節が背屈、内反、回外し、小趾列では、背屈、外反、回内している。よって、足底挿板を処方する際は、リスフラン関節での扇状の広がりを防ぐ形で横アーチの保持をはかる。加えて扁平足では、載距突起の下方から縦アーチを保持するように貼付し、また、後足部凹足は、後足部を回内方向へ誘導するために踵骨外側を少し挙上する形で作製する。双方ともその高さの基準は踵骨が直立することである。<BR>モートン病の足部アーチ形態は、ほぼ全例において低下したアーチであり、アーチ形態の是正をすることで、症状の改善は十分可能であると考えられる。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), C0442-C0442, 2006

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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