足関節果部骨折(外果単独、両果骨折)の予後
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説明
【目的】<BR>足関節果部骨折の治療は解剖学的整復位と脛腓骨の安定性が重要とされる。今回、術後X線計測値、ROMの比較、退院後の治療成績評価を行い足関節果部骨折の予後について検討した<BR>【対象と方法】<BR>平成14から16年にかけて手術療法を施行した17例17肢。内訳は男性10、女性7、平均年齢56.53歳。受傷原因は、転倒10、転落3、スポーツによる損傷3、その他1例。有職者の職歴は、水産業2、事務業2、建設業1例であった。Weber分類による骨折型は、脛腓靭帯より末梢部で骨折したもの(以下TypeA)4例、靭帯結合部(以下TypeB)8例、中枢部(以下TypeC)5例。手術法は、Tensionband Wiring3例、ランボット鋼線締結9例、プレート5例。X線計測は、外果部の回旋転位の指標として腓骨関節面傾斜角。治療成績評価は、日整会足部疾患治療成績判定基準(JOA)を使用。退院時の腓骨関節面傾斜角・ROMを測定。退院後(11から34.5ヶ月経過)のJOAを調査。マン・ホイットニ検定により、(1)腓骨傾斜角、(2)ROM、(3)JOA(疼痛、不安定性、歩行能力、ADL 50点)の比較。職場復帰までの期間を調査。<BR>【結果】<BR>1)腓骨関節面傾斜角:TypeA 28.25°、TypeB 26.75°、TypeC 26.0°(p<0.05)、2)ROM 背屈:TypeA 18.75°、TypeB 22.5°、TypeC 14°(p<0.05)、底屈: TypeA 46°、TypeB 42.3°、TypeC 38°(有意差なし)、3)JOA:TypeA 46点、TypeB 42.3点、TypeC 36点(有意差なし)、4)術後から職場復帰までの日数:平均78.14日<BR>【考察】<BR>足関節果部骨折の手術治療のポイントは短縮、回旋転位した腓骨の整復である。南郷による腓骨関節面傾斜角減少の原因は、外果部の外旋転位の残存が最も考えられ、この整復は臨床成績にも関わると述べている。今回の検討で腓骨関節面傾斜角に有意差を認め、退院後(11~34.5ヶ月経過)のJOAの検討では成績に差はなかったが、TypeCは他と比較して低い結果となった。TypeCは骨間膜、脛腓靭帯損傷を伴うことがあり、腓骨の整復固定が不十分になりやすく、脛腓関節が開大してくると距骨の外側偏位により関節面の不適合を生じる。ROM(背屈)の比較で差を認めたことは、TypeCの術後固定期間が他の骨折型と比較して長期であり、腫張、関節拘縮が生じやすいと考える。職場復帰までの期間は術後61~95日であり、職種により日数が異なる結果となったが、比較的短期間であった。果部骨折に対する治療は、腓骨の観血的整復と強固な内固定、後療法は可動域制限、骨萎縮を残さないための早期運動療法、特に腓骨近位で骨折したものは、背屈の可動域獲得が必要であると考える。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), C0440-C0440, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205563007872
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- NII論文ID
- 110004994801
- 130004579369
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- NII書誌ID
- AN10146032
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可