角速度センサーを用いた足関節角速度測定の信頼性および妥当性の検討

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【目的】臨床で筋力が測定されることは多いが、先行研究では下肢において力(フォース、トルク)の評価よりも仕事率(パワー)の評価のほうが移動能力などの身体機能との関連が強いことが示されている。つまり力の測定に加えパワーを測定することがより臨床的な評価といえる。力の測定には握力計や徒手筋力計など簡便なものがあるが、パワーの測定には速度の要素が関与するため等速性筋力測定器などが必要であり、安価で簡便にパワーが測定できる機器はない。簡便に関節角速度を測定することができれば有用な臨床的指標になると同時に筋力トレーニングを処方する際の重要なパラメータの1つとして活用できると考えられる。本研究では簡便に角速度を測定できる角速度センサーを用いて足関節底背屈運動の角速度の測定を行い信頼性と妥当性を検討した。<BR>【方法】対象は整形外科的および神経学的な既往のない健常大学生15名(男性6名、女性9名、平均年齢22.2±0.9歳）とした。対象には研究の内容を説明し書面にて同意を得た。角速度センサーを用いた足関節角速度測定の信頼性の検討として、検者A、Bの2名の検者による測定値の級内相関係数(ICC)を評価した。測定肢位は両足を床面から離した端座位とし、角速度センサーを足底部に固定した。測定動作は足関節の背屈と底屈の運動をそれぞれ5回、負荷を与えない状態で最大努力にて行わせた。測定肢は左足とし検者の測定順序はランダムとした。また、妥当性の検討のため3次元動作解析装置による足関節角速度データも測定し、角速度センサー測定値との相関係数を算出しした。サンプリング周波数は角速度センサー、3次元動作解析装置ともに200Hzとした。有意水準は危険率5%未満とした。<BR>【結果】角速度センサーによる角速度測定値の平均は足関節背屈が、検者Aで651.9±113.3deg/sec、検者Bで676.3±128.3deg/secであった。足関節底屈は、検者Aで668.8±132.0deg/sec、検者Bで706.1±164.2deg/secであった。検者A、B間の信頼性(ICC)は足関節背屈で0.922(p < 0.01)、足関節底屈で0.800(p < 0.01)であった。3次元動作解析装置との相関係数は、足関節背屈が検者Aでr = 0.785 (p < 0.01)、検者Bでr = 0.925(p < 0.01)であった。また足関節底屈では検者Aでr = 0.617(p < 0.05)、検者Bでr = 0.425(p >0 .05)であった。<BR>【考察】背屈動作において高い信頼性と妥当性が得られたが、底屈動作においては信頼性、妥当性ともに低く測定の方法に問題があった可能性がある。今回は、最大発揮角速度に注目したため足関節に運動負荷は与えずに動作を行わせた。角速度がより速くなる底屈動作にて信頼性、妥当性が低下したことは、センサーが測定のターゲットとしている角速度から乖離した角速度が発揮された可能性も考えられる。今後、さらに信頼性、妥当性を高める方法を検討したい。<BR><BR>

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