スクワット肢位の筋電図学的分析
書誌事項
- タイトル別名
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- 足圧中心位置と骨盤前後傾斜の影響
説明
【目的】スクワット動作は、荷重位での下肢筋の筋力トレーニングとして臨床的に広く用いられている。スクワット動作の筋電図学的研究は多いが、スクワット中の足圧中心と骨盤傾斜の変化に関する研究は少ない。本研究の目的はスクワット肢位における前後方向の足圧中心位置と骨盤の前後傾斜の違いが、下肢筋の筋活動にどのような影響を及ぼすかについて比較検討することである。<BR>【対象と方法】本研究に同意した下肢・体幹に整形外科的疾患の既往のない健常成人男性9名、平均年齢は24.2±2.0歳、平均身長は170.7±7.4cm、平均体重は64.2±10.1kgを対象とした。筋電図の測定筋は、大殿筋(GM)、大腿直筋(RF)、内側広筋(VM)、内側ハムストリングス(MH)、外側ハムストリングス(LH)、腓腹筋内側頭(MG)、ヒラメ筋(SO)の7筋とした。表面筋電図を双極導出するために、2個の表面電極を各筋線維に平行に電極中心約20mmで貼付した。スクワット肢位は両脚で膝屈曲角度60度、体幹を垂直とし、骨盤傾斜を中間位、最大前傾位、最大後傾位で保持し、それぞれ足圧中心位置を中間位、前方位、後方位に変化させた。スクワット肢位はアニマ社製重心動揺計(G-5500)上で行い、足圧中心位置は前方位、中間位、後方位をそれぞれ踵から足長の約75%、50%、25%の位置でモニタリングしながら保持させた。各筋電図測定値は最大随意収縮時のRoot Mean Square(RMS)振幅値を100%として正規化し、%RMSとして表した。統計処理は反復測定分散分析およびTukeyの多重比較を用いた。<BR>【結果と考察】骨盤傾斜の変化では、RF、GM、LHで有意差が認められ、RF(11.2~23.0)は骨盤前傾位、GM(19.6~22.6%)、LH(5.5~12.0%)は骨盤後傾位で最も高かった。MH(3.8~7.2%)は骨盤後傾位で中間位、前傾位よりも高い傾向を示したが、有意な変化は認められなかった。足圧中心位置の変化では、RF、VM、MG、SOで有意差が認められた。RF(12.4~23.0%)、VM(30.5~35.5%)は足圧中心後方位で、中間位、前方位よりも有意に高かった。MG(6.5~8.2%)、SO(34.0~36.5%)は足圧中心前方位で、中間位、後方位よりも有意に高かった。スクワット肢位での筋活動を筋ごとに比較すると、GM(5.2~22.6%)、LH(3.4~12.0%)、MH(3.2~7.2%)間では、GMと比較しLH、MHは低い値を示した。RF(7.0~23.0%)、VM(19.4~35.5%)間では、VMと比較しRFは低い値を示した。MG(3.2~8.2%)、SO(9.4~36.5%)間では、SOと比較しMGは低い値を示した。このように、スクワット肢位での姿勢を保持するためには、RF、MH、LH、MGのような二関節筋より、VM 、GM、SOなどの単関節筋が高い筋活動を示していた。本研究により、スクワット肢位は骨盤傾斜の変化では骨盤前傾位でRFが、骨盤後傾位でGM、LHが有意に活動し、足圧中心位置の変化では前方位でMG、SOが、後方位でRF、VMが有意に活動することが示唆された。<BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2005 (0), A0686-A0686, 2006
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205563504128
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- NII論文ID
- 130004578764
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可