急速な進行を示すパーキンソン病患者のターミナルケアーに置ける理学療法士としてのアプローチ

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抄録

【はじめに】パーキンソン病は50、60歳代に好発、振戦・筋強剛・動作緩慢・姿勢反射障害を主症状とする。65歳以上人口10万人あたり約200人にみられ、抗パーキンソン病薬によく反応する。しかし、急速に進行する症例も散見され不可逆的な進行を示すことが多く機能的リハビリとともに精神的なケアーが重要視される。今回、 急速に進行するパーキンソン病患者のケアーを経験し、ナラティブセラピーチームの一員としてリハビリを施行した。問題点、考察を報告する。【指導・教育内容】2002年死の臨床研究会にて仲理学療法士は 1、疼痛と苦痛の緩和 2、ADLの拡大 3、精神的な援助 に注目してターミナルリハビリの指針を示された。当グループ井上呼吸内科医は 1、除痛・除苦処置 2、患者家族への具体的手技指導 3、患者への目標設定、それに向けての努力 4、1日複数訪室にての信頼関係構築 を行うように指導されている。【ナラティブケアー内容】医師より 1、防ぎようのない急速な進行 2、息子と患者の強固な心情的依存 3、強い医療不信 より人間的信頼を得た上での家族の一番の希望である摂食に注目し、息子在室時医師との頻回訪室、早期よりの摂食嚥下訓練、リハ内容変更時医師とともに説明しながら指導した。【症例】75歳男性 元来日常生活は自立。平成14年歩行障害出現、神経内科入院するも症状改善得られず退院。半年の経過にて車椅子移動再入院、抗パーキンソン薬も十分な効果を表さず2ヶ月の経過を経てベッド上生活となり長期療養目的にて当院転院。急速進行の恐怖・現状認識不足・転院よりのストレスから強い医療不信が伺われた。気管切開施行、胃ろう栄養摂取となるも嚥下リハビリ指導にてゼリー食摂取可能状態を保ち亡くなられた。処置毎に繰り返し医療不信・拒否をあらわにされていたが、死去時家族から感謝・満足の言葉をいただいた。【問題点】1、長期的改善が見込まれないためリハビリが単調になる。 2、コミュニケーションを十分に取れない患者におき肉体的精神的苦痛理解が困難。 3、体力低下・疾患進行とともに家族からのセラピストに対する訴えが多くなる。 等の問題点が見られた【結論】1、一期的機能回復・維持・合併症予防効果は不明。 2、楽しみの摂食を保ち、最終的に家族満足を得た。 3、進行性パーキンソン・急速機能低下を示す患者に機能回復は導けずともナラティブセラピーチームの一員として家族の満足を導いたと考える。【考察】1、疾患進行に伴う患者と家族の心の変化もふまえリハビリを行う必要がある。 2、患者・家族への医療情報の提供と、家族のニーズもふまえた目標設定、それに向けてのチームアプローチにて患者・家族からの信頼を得ることが重要。 3、毎日の身体状況変化の中で患者・家族の訴えに傾聴しながらも、長期的予後を見据えた上でのリハビリアプローチが必要である。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), H1056-H1056, 2004

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205563590784
  • NII論文ID
    130004578640
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.h1056.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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