徒手抵抗感から細分化した5段階の段階付けと徒手抵抗の値

書誌事項

タイトル別名
  • 健常人について

説明

【はじめに】第6版新・徒手筋力検査法(MMT)では全面的な改訂が行われ、より詳細な方法や解釈が盛り込まれた。しかし、3+以上の段階づけでは曖昧さが残され検証が求められている。そこで、健常人においてMMTの3+以上を徒手抵抗感に基づいて5段階に段階付けをし、同時にhand held dynamometer(徒手筋力計:μTas MT-1 アニマ社製、以下HHD)を用いて徒手抵抗の力を測定し、両者の比較から徒手抵抗感に基づく段階づけについて検討したので報告する。【方法】被検者は全員健常人で、患者の家族、職員など同意が得られた男性26名(57±21歳)、若年群8名(27±6歳)中高年群18名(70±6)、女性35名(50±19歳)、若年群14名(29±7)中高年群21名(64±7歳)計61名、MMTで3+未満および測定に支障のある者は除外した。段階づけは、性別、年齢(成人)、体格などを考慮せず、わずかな抵抗が加えられる3+から最大抵抗の正常筋力5までを徒手抵抗の程度から3+、4-、4、4+、5の5段階で判定した。測定は、1名の検者が左右の股関節外転と伸展を膝部の徒手抵抗感から段階づけ、同時に徒手で保持したHHDを用いて徒手抵抗の力をkg単位でHHD値として測定した。【結果】1)全ての測定値における徒手抵抗感からの段階付け毎のHHD値は、3+が認められず、4-が7.9±1.3(6.4-1.3)(kg)、4が15.7±2.8(9.5-21.1)(kg)、4+が23.8±2.6(17.3-28.9)(kg)、5が33.0±3.8(27.2-44.3)(kg)であった。2)男性若年群における外転は5が15肢、4+が1肢、平均HHDが35.3±3.3(kg)、男性中高年群で5が11肢、4+が17肢、4が8肢、平均24.6±5.6(kg)であった。女性若年群において外転は5が11肢、4+が15肢、4が2肢、平均26.7±4.7(kg)、女性中高年群で5が2肢、4+が27肢、4が13肢、平均22.2±4.5(kg)であった。伸展では外転とほぼ同様な傾向を示した。【考察】MMTの抗重力位でわずかな抵抗がかけられる段階3+から最大抵抗正常筋力の段階5までは、非常に幅広く、被検者の性別、年齢、体格などを考慮するため主観的な余地が入り易く検証が必要である。本結果から、当該検者におけるMMTの3+から5まで5種類に分けた段階づけと平均HHD値から段階づけ毎のHHDの値をkg単位で推測できることが示唆された。このためには、性別、年齢、体格などにとらわれず職人芸のごとく徒手抵抗の力を認知する技術が求められるであろう。男女間の比較で、男性若年群は1から2肢を除いて全てのMMTが5、平均35kg、女性若年群は4+と5がおよそ半数ずつ、平均27kgであり、男性中高年群では4+が半数、残りが4と5、平均21から25kg、女性中高年では4+が半数以上、次に4、4-も2肢で認められ、平均17から22kgであった。これらのことは、徒手抵抗感から段階付けを行う場合、健常者であっても正常とされる5の段階に判定できないことがあることに注意が必要と考えられる。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2002 (0), 601-601, 2003

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205563840640
  • NII論文ID
    130004577278
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.601.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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