第22回ユニバーシアード競技大会/日本競泳選手団メディカルスタッフ帯同報告

  • 小林 亜紀子
    マッターホルン病院リハビリテーション科 日本水泳トレーナー会議
  • 栗田 英行
    コナミスポーツ(株) 日本水泳トレーナー会議
  • 浦辺 幸夫
    広島大学医学部保健学科 日本水泳トレーナー会議
  • 木村 貞治
    信州大学医学部保健学科 日本水泳トレーナー会議

説明

【大会までの経緯】<BR> 我々は日本水泳連盟トレーナー会議(会員85名)として国内外の競技会や合宿などで水泳選手の健康管理に携わってきた。2003年8月21日から31日まで韓国のテグ市で開催された第22回ユニバーシアード競技大会に日本競泳チームのメディカルスタッフとして帯同したのでその経験をふまえて活動内容を報告する。帯同期間は事前合宿を含め延べ15日間だった。競泳チームは選手27名(男子16名、女子11名)、スタッフ10名で構成された。このうちメディカルスタッフはドクター1名、トレーナー2名だった。<BR>【トレーナールームの運営】<BR> 主な活動場所は大会会場プールと選手村だった。選手村は分譲マンションの3LDKの部屋に分宿し、監督・コーチの部屋のリビングルームの一角をトレーナーのスペースとして使用した。選手村でのケアは原則的に予約制とした。プールではあらかじめプールサイドに隣接したオープンスペースが設けてあり、その一部にベッドを設置して活動拠点とした。<BR> 携行物品は電気式ホットパック、超音波治療器(伊藤超短波US-100)、携帯ベッド2台、テーピング用品一式、救急用品一式、体重計などだった。<BR>【活動内容】<BR> 体調管理として出発前夜の全体ミーティングで移動での注意点、感冒予防について指導した。また、練習前後に体重のチェックを行い、選手に体調管理の一環として意識させた。<BR> 遠征期間中選手全員がトレーナーサービスを利用した。利用件数はプール108件、選手村161件で、1名あたりそれぞれ4.0件、6.0件利用した。対象部位は主に推進力を生み出す上肢、特に肩関節周囲のコンディショニングの要望が多く、以下体幹、下肢と続いた。過去の帯同報告と比較すると肩関節周囲の対応件数が多かった。治療内容はマッサージ219件、ストレッチング100件、マニュアルセラピー32件、超音波治療22件、鍼治療5件、テーピング2件だった。その他、実際ウォーミングアップの一環としてセルフストレッチングを行う選手が多くあり、セルフで難しい部分をパートナーストレッチングで補充した。<BR>【総括】<BR> 今回の大会期間中、特に外傷・障害や重大な疾病がなく無事に終えることができた。開催地が隣国韓国で気候や時差の変化がほとんどなかったことや選手の身体能力の高さ、また各自体調のピークを合わせていたからだと思われる。大会を通して疲労回復等を目的としたコンディショニングとしてのトレーナーサービスの利用が多かったが、一日に数レース行う選手も多く疲労の蓄積は否めない。ベストパフォーマンスの発揮にコンディショニングは欠かせず、改めてその重要性を感じた。理学療法士の知識と技術はこのようにスポーツ活動の現場に大いに役立つと考え、今後も研鑽を重ねたい。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), C0061-C0061, 2004

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564074624
  • NII論文ID
    130004578048
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.c0061.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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