徒手筋力検査法におけるマルチメディア教材の開発

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抄録

【背景・目的】理学療法の学習において、知識・技術の講義形式での伝達のみならず、実技指導を通じた徒手療法・移乗動作などの実習形式は重要である。実習形式では、少数の指導者に対し大勢の学生を指導する為、十分な実技指導が行き渡っているとは言い難い。理学療法評価にある徒手筋力検査法(以下、MMT)の実技実習指導では、模範実技を行い、学生が実習、更に実習中に個別指導を行なう、という流れをとっている。同行程を、下肢だけで約20項目からなる各筋力検査をすべて網羅することは時間的に難しく、また、一度の実技と参考書の図や文字による学習は十分な実技習得には非効率である。そこで、今回、図や文字に実技映像を加えたマルチメディア教材を開発し、実技実習指導の効率化を図り、更に、オンデマンド・ストリーミング配信技術を活用し、遠隔地の学習支援や卒後学習の支援となりうる教育システムを構築することを目的とした。その第一段階として、MMTにおけるマルチメディア教材を開発したので、ここに報告する。<BR>【方法】本教材はテキスト情報、音声情報と動画像情報の3つの情報で構成される。教材内容は下肢に関するMMTの17検査項目(副項目を含む)である。テキスト情報は、Microsoft PowerPoint2003を用いて作成した。動画像情報(音声情報を含む)は、各検査手技をデジタルビデオカメラにて撮影した。記録した動画は、ビデオ編集ソフト(VideoStudio7)を用い、パーソナルコンピュータにAVI形式にて取り込んだ。その後、動画エンコードソフト(TMPGEnc Plus 2.5)を用い、MPEG-1形式に圧縮変換した。また、著作権を保護する為に、各動画に著作権表記に関する事項をレンダリングした。テキスト情報と動画像情報は、Microsoft Producer for PowerPoint2003を用いて、編集、統合、同期させ、各検査項目のプレゼンテーションを作成した。また、HTML言語を用いて記述したインデックスを作成し、各検査項目のプレゼンテーションへリンク出来る形とした。作成した教材データの総容量は約260MBであった。<BR>【考察】今回開発したMMTマルチメディア教材は、実技動画情報にテキスト情報を加え、情報量をより持たせた学習教材である。各プレゼンテーションやインデックスでは、任意に項目を選択し再生・閲覧可能であり、オンデマンド性を備えている。今後は、本大学理学療法学学生もしくは卒業生に対し、本マルチメディア教材を用い、アンケート調査もしくはテストを実施し、教材の利用前後の比較検討を行い、学習効果を評価していく。<BR>【参考書籍】Helen J.Hislop、 Jacqueline Montgomery:新・徒手筋力検査法 原著第7版.津山直一(訳)、協同医書出版社、東京、2003、pp181-244.

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), G0534-G0534, 2005

    公益社団法人 日本理学療法士協会

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