ヒト変形性膝関節症関節液の分析

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • モルモット膝関節液との比較

抄録

【目的】変形性膝関節症(OA)患者の膝関節液はOAの進行度を知るのに有用なサンプルであるが、正常な関節液での評価ができないため確固たる指標がないのが現状である。保存療法(運動、サプリメント、温熱など)による関節液中の指標の変化を検討することは、リハビリテーション手技の有効性を裏付ける客観的なデータとして重要であると考えられる。そこで、膝関節液中の指標を検索するため、OAの動物モデルとして利用されるDunkin-Hartley種の関節液採取方法について検討した。また、ヒトOA患者の膝関節液と比較することで、リハビリテーション手技の有効性を動物モデルで確立することを目的に実験を行った。<BR>【方法】 動物モデルはDunkin-Hartley雄モルモット(3.5-month-old)を用いた。関節液採取は、関節包を最低限開いて関節液を抜く方法及び関節包を開かずに関節穿刺により抜く方法の2群に分け実施した。採取したサンプルは遠心し、上清を関節液サンプルとした。また、ヒトOA患者の関節液は、関節液が貯留している変形性膝関節症患者9人(男性2人、女性7人)を対象とし、患者に実施内容を説明し、同意を得た上で採取を行った。関節液中指標の測定は、グリコサミノグリカン(GAG)、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)活性を中心に検討した。GAGは、関節液をプロテアーゼ処理した後、セルロースアセテート膜電気泳動で確認し、MMP活性はゼラチンザイモグラフィーにより分析した。<BR>【結果】モルモット関節液中のGAGはヒアルロン酸 (HA)であり、採取方法による違いも認められなかった。これに対し、MMP活性は採取法により異なるパターンを示した。関節包を開かずに採取した場合の主要なバンドがMMP-2であるのに対し、関節包を開いた場合はMMP-3が主要なバンドに変化した。ヒトOA膝関節液中のGAGは大部分がHAであり、MMP活性はMMP-2が最も強いバンドとして検出された。 <BR>【考察】ヒトOA患者の膝関節液との比較から、OA膝関節液中のMMPは、MMP-2がメインであることが明らかになった。また、関節包を切開することでMMP-3が発現(活性化)することが推定された。このことはMMP-3が慢性関節リウマチ(RA)患者で高値を示すことと関連すると考えられる。MMP活性のパターンから関節穿刺による採取方法が適当であると考えられた。関節液採取方法を一定にすることにより、ヒトとモルモットでMMP活性のパターンが一致したことで、今後動物モデルで本方法による関節液採取を実施し、温熱刺激などの効果を検討していく予定である。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), A0926-A0926, 2004

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564381312
  • NII論文ID
    130004577810
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.a0926.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ