等尺性膝伸展、股外転筋力と高齢者の歩行能力との関係

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  • ハンドヘルドダイナモメーターを用いた検討

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【目的】ハンドヘルドダイナモメーター(以下HHD)に固定用ベルトを使用することで測定値に信頼性や互換性がえられることが明らかになってきている。一方で臨床において股外転筋は測定機会も多い筋であり、動作能力と筋力値の関係を明らかにすることは重要と考える。今回、我々は歩行能力と等尺性膝伸展筋力(以下膝伸展筋力)、等尺性股外転筋力(以下股外転筋力)の関係を明らかにする目的で以下の検討を行った。<BR>【方法】対象は当院外来、入院患者(整形外科疾患、内部疾患)のうち屋内監視歩行の実施が可能であり本研究に同意の得られた16名(男性1名、女性15名、平均年齢85.13 ±5.7歳)であり、以下の項目を測定した。また歩行能力に差が生じるような明らかな膝伸展、股外転筋力の左右差は見られなかった。測定項目は歩行能力と筋力の関係を明らかにするために10m至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力の測定を実施した。膝伸展・股外転筋力の測定は、HHD(アニマ社製μTasMT1)に固定用ベルトを用いた。測定では左右各2回の測定を行い、最大値から平均値を計算し、体重比(筋力kg/体重kg以下単位省略)を算出した。また至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力体重比の各々にピアソンの相関係数を用いて分析した。また、対象者の歩行能力(屋外自立、院内自立、院内監視)と院内の歩行様式(独歩、杖、その他)を担当療法士が聴取し、それぞれにおける膝伸展、股外転筋力体重比を分析した。<BR>【結果】10m至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力体重比の相関係数は、それぞれ-0.852、-0.656であり、概ね良好な結果であった。各歩行能力の膝伸展、股外転筋力体重比は、それぞれで屋外自立0.41から0.54、0.19から0.28、院内自立0.29から0.39、0.15から0.24、院内自立以下0.16から0.30、0.92から0.17であった。院内の歩行様式では膝伸展、股外転筋力体重比それぞれで独歩0.35から0.54、0.19から0.33、杖歩行0.31から0.41、0.19から0.24、その他の歩行様式0.16から0.30、0.09から0.17であった。<BR>【考察】至適歩行時間と膝伸展、股外転筋力体重比の関係は、良好な負の相関を示し、股外転筋力体重比が膝伸展筋力体重比と同様に歩行能力に影響を及ぼす指標と考えられた。また歩行能力の膝伸展、股外転筋力体重比では、歩行能力が高いほど階層的な筋力値の上昇が見られることから、股外転筋力においても一定の筋力水準が歩行自立に必要であるものと思われた。一方で院内の歩行様式では歩行能力同様、歩行様式のレベルが高いほど階層的な膝伸展、股外転筋力値の上昇が見られることから、歩行様式にも股外転筋力の一定の筋力水準が必要であることが示唆された。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564409856
  • NII Article ID
    130004577819
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.a0951.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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