踵骨骨折後の予後

説明

<はじめに> 踵骨骨折は、着床時に最も衝撃を受けやすい部位であり、ベーラー角の消失、踵骨の横経増大などの骨折の変形治癒や、長期にわたって疼痛や機能障害を残す難治性骨折の1つである。今回、短期間ではあるが検討する機会を得たので若干の考察を加えて報告する。<対象症例> H11年からH14年まで当院で治療した追跡可能な症例、11例15足を対象とした。男性7例9足(右1例、左4例、両側2例)、女性4例6足(右1例、左1例、両側2例)、年齢26から60歳(平均47.5歳)、追跡調査期間は平均6.5ヶ月(最短3ヶ月、最長12ヶ月)であった。<検査項目> Laasonenの評価法、Arnesenの分類、ベーラー角、横経増大の有無の計測と疼痛の有無、職場復帰までの期間を調査した。<結果> Laasonenの評価法excellent3足、good8足、fair4足、poor0足、Arnesenの分類、関節外骨折2例、tomgue-type7例、depression-type6例、保存療法9足(以下A群)、内観血的整復6足(以下B群)であった。ベーラー角は受傷時平均A群23.6度、B群13.1度、最終評価時平均A群23.3度、B群21.2度、横経増大は受傷時A群2例平均4.5mm、B群6例5.8mm、最終評価時A群2例3.5mm、B群5例3.3mmであった。疼痛は、最終評価時A群5例、B群4例で外足部痛が主であった。受傷前の有職者7例中、職場復帰6例、復帰までの期間平均4.2ヶ月であった。<考察> 今回、踵骨骨折11例15足の追跡調査を行った。踵骨骨折後の後遺症として長期間の疼痛があげられた。原因として変形治癒に伴う距骨下関節症、外側骨皮質膨隆による狭窄性腓骨筋腱腱鞘炎、扁平足、下腿三頭筋筋力低下等が考えられる。大橋らは、圧迫骨折時に生じた踵骨外側の膨隆が整復後も残存し、腓骨筋腱を刺激し疼痛を誘発してると報告している。今回、我々の調査においても横経増大が十分整復されないものに疼痛が残存している症例が多かった。和田山らは、外足部痛は、横経増大と関連しており、横経増大が十分整復されないものに成績不良例が多く、予後を左右する因子として重要であると報告している。職場復帰においては、事務職者は疼痛の有無に関わらず早期に復帰しており、肉体労働者は復帰までに長期間を費やし復帰後も仕事に制限のある例もあった。今回短期間であったが今後さらに追跡調査行い経過観察していきたい。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2002 (0), 187-187, 2003

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564438144
  • NII論文ID
    130004576817
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.187.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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