片麻痺患者における患側下肢荷重率・健側膝伸展筋力と歩行能力の関連

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【はじめに】<BR> 我々は,第38回全国理学療法学術大会において市販の体重計を用いた患側下肢荷重率(以下,患側荷重率)の測定を行い,その有用性について検討した.その結果,患側荷重率が体重比0.6以上は,屋内歩行が全例自立していたことを報告した.しかし,臨床において患側下肢への荷重が不十分な場合でも,歩行が自立する症例を経験することがある.そこで今回は,患側荷重率が低い場合において,歩行能力に影響する因子を検討したので報告する.<BR>【対象】<BR> 当外来リハあるいは通所リハを利用している脳血管障害患者85例を対象とした.内訳は,男性56例,女性29例,平均年齢65.2±10.2歳,右片麻痺51例,左片麻痺34例,下肢Brunnstrom Stage(以下,B.R.S.)はIII31例,IV39例,V14例,VI1例である.なお,立位保持が上肢の支持なく10秒以上可能,介助歩行レベル以上の者で,明らかな高次脳機能障害,痴呆等を有していない者とした.<BR>【方法】<BR> 運動機能の評価として体重計を用いた患側・健側荷重率,B.R.S.,患側・健側等尺性膝伸展筋力の測定,ならびにFunctional Reach Test(以下,F.R.T.)を実施した.荷重率は,2台の体重計の上に足幅を10cm開いた立位をとり,5秒間保持可能な最大荷重量を患側・健側ともに測定し,体重で除した値を用いた.筋力の測定には,アニマ社製μTas-MT1を使用し,端坐位,下腿下垂位での等尺性膝伸展筋力を求めた.<BR>歩行能力としては,屋内歩行の自立度,10m歩行所要時間を測定した.<BR>【結果および考察】<BR> 患側荷重率と歩行自立度の関連をみると,患側荷重率0.6以上では,全例が屋内歩行は自立していた.<BR> 患側荷重率0.6未満の患者における歩行自立度と運動能力指標の関連を見た場合,歩行自立群の健側筋力は平均0.52kg/kg,非自立群は平均0.34kg/kgで,自立群において有意に筋力は高かった.一方,健側荷重率やF.R.T.,B.R.S.など他の指標には差を認めなかった.<BR> 次に,10m歩行所要時間と運動能力指標の関連を見ると,健側筋力,F.R.T.との間にr=0.64,r=0.45の有意な相関を認めた.一方,10m歩行所要時間とB.R.S.との間には有意な相関は認めなかった.<BR> 以上の結果は,患側荷重率が低い症例でも,健側筋力が良好であれば,歩行能力を高く維持できることを示唆しており,患側荷重が困難な重症例における健側筋力強化の重要性が再認識された.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564477568
  • NII Article ID
    130004577874
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.b0378.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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