2ステップテストと体力因子の関係

書誌事項

タイトル別名
  • ―Function reachとTimes up and goとの関係に着目して―

説明

【はじめに】<BR> 高齢者の転倒は骨折などの身体障害に加え、転倒経験による恐怖感から活動を制限する。そのため転倒予防は、自立した生活やQOLを維持するためにも重要である。高齢者のバランス機能の臨床的評価として臨床場面で用いられるFunctional reach(以下FR)とTimes up and go(以下TUG)などの検査法がある。しかしこれらの検査法は日常の臨床の中で行うには、時間的・空間的な制約から実施困難な場合が多い。村永が開発した2ステップテストは簡便に歩行能力を推定するものである。これまでに、転倒歴との関連を検討した。転倒リスク者のスクーリーニングとして簡便な評価法であると報告した。今回、FRおよびTUGとの2ステップテストとの関係を明らかにしその妥当性を検討する。<BR>【対象】<BR> 運動機能に問題のない高齢者健康教室に参加した110名(男性15名、女性95名、平均年齢74±10歳)を対象とした。各評価の実施数は、2ステップテスト実施者110名、TUG実施者110名、FR実施者83名であった。<BR>【方法】<BR>1) 2ステップテストの概要と測定法<BR> 2ステップテストとは、バランスを崩さず実施可能な最大2歩幅長を計測しそれを身長で標準化した2ステップ値を算定する。測定長は開始肢位の両側つま先から最終位のつま先までの距離をメジャーを用いて測定し、左右両脚各2回ずつ実施しその最大値を採用した。<BR>2) FR、TUGの測定法<BR> FRは立位を保持し他状態で上肢を90度挙上させ、そこから前方へ上肢を伸ばした最大到達距離をメジャーにて1cm単位で測定し、2回の平均値をFR値とした。TUGは、椅坐位から立ち上がり3m前方のポールまで歩行し方向転換し再び元の椅子までの時間をストップウォッチで測定し2回の平均値をTUG値とした。<BR>3) 統計学的手法<BR> 2ステップテストとFRおよびTUGの関連性については、pearsonの相関係数を用い危険率5%を有意水準として検証した。<BR>【結果】<BR>1) 2ステップ値とFRの関係<BR> 2ステップ値とFRでは有意な負の相関がみられた。(r=-0.80、p<0.05、n=83)<BR>2) ステップ値とTUGの関係<BR> 2ステップ値とFRでは有意な正の相関がみられた。(r=0.44、p<0.05、n=110)<BR>3) 2ステップ値とFR・TUGの対応<BR>  FR15cmに対応する2ステップ値は約0.8、TUG10秒に対応する2ステップ値は1.1であった。<BR>【考察およびまとめ】<BR> 先行研究で、2ステップ値と転倒リスクとの関係では、1.0以下は転倒リスクが高くなると報告した。転倒リスクの境界値であるFR15cmに対応する2ステップ値は約0.8、TUG10秒に対応する2ステップ値は1.1であった。今回、2ステップテストは、FR・TUGによる従来のバランス機能評価と関連があり、バランス機能を評価する簡便な方法としても活用が可能であると思われる。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), E0778-E0778, 2005

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564594432
  • NII論文ID
    130005013074
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.e0778.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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