理想の靴作り開発プロジェクトに参画して

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  • ―産学医連携事業による社会貢献―

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【はじめに】健康な体作りは健康な社会作りにつながる。老化は足からといわれるが、健康な体作りにおいて、下肢機能を向上させ、それを維持することは大変困難なことであるが、また解決されねばならない重要な課題でもある。人間の生涯において、下肢機能を適切な状態に維持することは生活の質の向上に大きく貢献することになる。特に、幼少時における足の成長の促進、青年期における下肢機能の向上と維持、中高年におけるさまざまな機能低下に対する適切な対応が必要である。今回、1999年以来、靴メーカーである(株)アサヒコーポレーションとの共同事業の一環として子供向けから高齢者向けまでの広い世代を対象として、望まれる理想的な靴づくりをめざす開発プロジェクトにアドバイザーとして関わり、種々の新機能を提案してきた。その結果、いくらかの成果を得たので報告する。<BR>【提案した新機能】Total functional shoes(全機能靴)として、Twin flex system 、Total frame system、Full flat sole system 、Foot on controller system機能を考案、足の成長と動きを適切にサポートする靴作りを行った。Twin flex Systemは靴底の前足部と後足部の二ヶ所に屈曲ラインを設け、踵接地時と蹴り出し時の衝撃を吸収し、スムーズな重心移動を確保するもの、Total frame systemは足部における骨、筋、靭帯などの構造学的特長を靴の枠組みとしてデザインし、静止立位時及び運動時にかかる衝撃ストレスをアーチの頂点である舟状骨に集め、アーチの変化に対応するもの、Full flat sole Systemはアーチの適切な成長と維持、機能回復を目的に靴の中底を平坦にしたもの、Foot on controller systemは中底の外側にウエッジを設け足圧の移動を母趾側へ誘導するものである。<BR>【成果】それぞれの機能は、(株)アサヒコーポレーションバイオメカニクス研究室、福岡大学スポーツ科学部により、その効果は検証され、それぞれの機能を搭載した靴として、子供靴(健康くんプラス)、スポーツシューズ(ブルックス)、高齢者向け介護シューズ(快歩主義)が開発された。いずれも静止立位時、歩行、走行時における足部の動きに適切な方向性が生まれ、衝撃吸収性とフィット性が評価される結果を得た。特に高齢者向け介護用シューズとして開発された靴は、開発以来4年で130万足という高い実績を記録し、介護用リハビリシューズとしてだけでなく、広く一般の中高年の方々に受け入れられてきている。<BR>【今後のビジョン】超高齢化社会を迎えようとしている現代において、足部の健康を管理することは、健康寿命を延ばし、健康な国づくりにつながると考えている。産学医の連携による地域社会への貢献において、理学療法士の持つ役割の重要性とその可能性をさらに掘り下げていきたい。

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564649600
  • NII Article ID
    130005013057
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.e0708.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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