転倒予防教室における体操プログラム立案の検討

説明

【目的】地域型在宅介護支援センターでは、H13年度より介護予防事業の一つとして転倒予防骨折教室を開催している。H14年度より理学療法士も教室の運営スタッフとして参画しており、主に身体機能に関連した運動介入を行っている。しかし、参加者と共に効果のある教室を模索している状況であり、各年度の参加者の特徴をつかんだ上で体操プログラムを考慮するまでには至っていない。そこで今回、各年度の初回の体力測定より新規参加者の特徴を分析し、今後の体操プログラム展開の方向性について検討したので報告する。<BR>【方法】対象者は長崎市中央部「はつらつサークル」の各年度の新規参加者とし、初回の体力測定を行った。H14年度15名(女性11名、男性4名、年齢71.9±5.7歳)、H15年度20名(女性19名、男性1名、年齢74.6±6.9歳)、H16年度23名(女性22名、男性1名、年齢74.6±5.0歳)とした。教室での運動内容は、ストレッチ・筋力増強を中心とした体操を行った。体操プログラムについては各地区とも転倒教室開催前に会議を行い、統一した負荷強度とした。体力測定は2回目と11回目の2回実施し、測定項目は握力、長座体前屈、開眼片脚立ち保持時間、Functional Reach Test(以下FRT)、椅子からの立ち上がり時間(以下立ち上がり)、Timed Up and Go Test(以下TUG)、6M速歩時間の7項目を行った。統計処理は、各年度の初回体力測定項目について分散分析を行い、各群間の差を求めた。また、改善量の比較を行うため、初回、最終の体力測定を行えなかった者を除外し、H14年度9名、H15年度10名、H16年度14名の体力測定項目を同様の検定を用いて行った。各検定の危険率は5%未満を有意とした。<BR>【結果および考察】H14年度はFRTより動的な平衡性が低い参加者であった。また、H15年度はTUGと6M歩行時間よりも平衡性、移動能力が低い参加者であった。H16年度の初回測定値はH14年度、H15年度の最終測定値とほぼ同じ成績であり、身体的にレベルの高い参加者が多いことが伺えた。改善量の比較より、H14年度ではFRTの改善量が大きかった。H15年度では、立ち上がりとTUGに改善量が大きかった。これらから、H14年度は立位での動的体操を多く取り入れるプログラム、H15年度では運動に慣らしながら徐々に負荷を上げるプログラム、H16年度は高負荷を与えるようなプログラムと、各年度の特徴に合わせたプログラムの方向性が考えられた。以上の結果より、転倒教室運営にあたり、初期評価時の身体能力水準に合わせた体操プログラムの立案とプログラムの変更、または追加が必要であることが考えられた。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), E0768-E0768, 2005

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564673792
  • NII論文ID
    130005013064
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.e0768.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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