二分脊椎児の外反扁平足に対するトータルコンタクトAFOの作製と検証

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抄録

【はじめに】二分脊椎児の外反扁平足において踵骨の外反が強い症例に対してはシューホーンAFOで対応することは難しく、金属支柱付AFOでは月型内側芯が変形しやすい。今回、外反扁平が著明な二分脊椎症例に対して足部にトータルコンタクトしたAFO(以下tc-AFO)を考案・作製し、良好な使用結果が得られたので報告する。【症例紹介】4歳0ヶ月 男児。脊髄脂肪腫根治術后のL3レベルの不全麻痺。MMTは両側股関節屈曲3 伸展1 外転2、膝関節屈曲伸展3、足関節底背屈0。歩行は、遊脚相でのdrop foot、立脚相でのtoe-outした外反扁平、左反張膝を呈していた。体重・活動量増加に伴って、金属支柱付AFOの月型内側芯の変形が生じていた。 【理学療法評価】殿筋群の筋力に左右差があり、立位における左側下肢の支持機能の低下がみられた。外反扁平は舟状骨、踵骨、距骨の偏位を生じていた。しかし距踵舟関節・距骨下関節・距腿関節のアライメントを徒手で修正することができ、修正すると膝関節・股関節の自発的な伸展運動が活発となった。【tc-AFOの作製】踵骨の外反を矯正しアーチを形成するように最適肢位で採型し、内外果を被う足部にトータルコンタクトしたプラスチックAFOを作製した。プラスチックのたわみによって立脚時に足関節の背屈が3°生じるようにプラスチックの厚さを設定した。【評価方法】10ヶ月間の使用状況の経過観察。裸足、金属支柱付AFO装着、tc-AFO装着の3つの条件において、立位下肢帯X線像による大腿脛骨角とMikulicz線の評価、観察による歩行分析及びニッタ(株)社製Gait Scanを用いた歩行解析を行った。【結果】日中のほとんどの時間をtc-AFO装着にて過ごしたが、足部・下腿に創はできなかった。金属支柱付AFOでは左膝関節の反張に改善がみられたが、遊脚相において左骨盤帯・下肢が後退するパターンがみられた。tc-AFOでは左反張膝が改善され、膝からの振り出しが良好であった。X線評価の結果、tc-AFOが下肢機能軸に最も近かった。歩行解析の結果、tc-AFO装着時の歩隔が最も狭く、歩行スピードが最も速かった。【考察】tc-AFOは静的・動的アライメントおよび歩行スピードにおいて、金属支柱付AFOに比して良好な結果が得られた。足部の静的・動的アライメントを最適に調整することにより両下肢アライメントが良好になり、両下肢の運動が促されたと考える。tc-AFOは、徒手でアライメントを修正できる不安定な足関節に対して適用できると考えるが、その作製においては個々の体型・姿勢・運動を分析した上で採型しプラスチックの厚みを設定する必要があると考える。今後さらに、症例に合わせて検討していきたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205564829824
  • NII論文ID
    130004577027
  • DOI
    10.14900/cjpt.2002.0.376.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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