ブリッジ動作における脊柱起立筋群の筋活動と床反力の関係

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【目的】<BR> 本研究の目的は、ブリッジ動作時脊柱起立筋群の筋活動と床反力の関係を明らかにし、肩峰-踵間距離を変化させることで筋に対する負荷量の調節が可能となるか否かを物理学的に検討することである。<BR><BR>【方法】<BR> 対象は整形外科的・神経学的疾患の既往がない健常若年女性27名とした。床反力計は両足底に設置し、1側につき1枚使用した。筋電計を用いて左右腰部脊柱起立筋(L4-L5)の筋活動量を測定し、結果は体幹水平挙上時の値を100%として正規化し、各動作における筋活動量を%iEMGで表した。 <BR> 肩峰から同側の踵までの距離を80cm(設定1)、90cm(設定2)、100cm(設定3)、110cm(設定4)の4通り設定してブリッジ動作を行った。殿部は股関節屈伸0°まで挙上し、代償動作を防ぐため上肢は胸の前で組み合わせた。<BR><BR>【結果】<BR> 筋活動量については設定1と設定3、設定1と設定4、設定2と設定3、設定3と設定4の間にそれぞれ有意差が認められ(p<0.05)、肩峰-踵間距離が長くなるほど筋活動量は増加する傾向にあったが、設定1と設定2間においては有意差が認められなかった。<BR> 床反力については設定1と設定2、設定1と設定3、設定1と設定4、設定2と設定3、設定3と設定4の間にそれぞれ有意差が認められ(p<0.05)、肩峰-踵間距離が長くなるほど床反力は減少する傾向にあった。<BR><BR>【考察】<BR> 肩峰-踵間距離が長くなるほど脊柱起立筋の筋活動が増大し、床反力は減少した。床反力が減少した原因として、頭部を軸とするモーメントを仮定すると足部床反力F2は肩峰-重心間距離L1×体重wから肩峰-踵間距離L3を除した値と等しくなる(F2=L1/L3×w)。この時L3が長くなるほど床反力F2の値は小さくなる。<BR> 本研究において脊柱起立筋の筋活動が増大した原因として、脊柱起立筋の一部が脊椎と骨盤を第5腰椎関節で連結し、その伸筋として働くと仮定すると床反力F2により第5腰椎関節まわりには屈曲モーメントM1が生じる。起立筋による伸展モーメントM2がM1に拮抗し、概ねつり合うためM1は第5腰椎-踵間距離L2と足部床反力F2を乗した値で概算できる(M2=M1=L2×F2)。ここで先ほど述べた通り距離が長くなることで床反力は減少しているが、モーメントアームとしては長くなっているため、筋活動は緩やかに増大していると考えられる。<BR> 脊柱起立筋に対する理学療法の研究として、小野らは四つ這い位での四肢挙上運動が高齢女性の腰部脊柱起立筋筋力増強に有効な負荷量(最大筋力の50-70%)を与えると報告している。若年女性を対象とした本研究では64-84%の負荷量となった。今後は対象者を高齢者とした負荷量の検討が必要であると考えられる。<BR><BR>【まとめ】<BR> 1.肩峰-踵間距離が長くなるほど脊柱起立筋の筋活動量が増大し、床反力は減少した。<BR> 2.肩峰-踵間距離を変化させることで脊柱起立筋に対する負荷量の調節が可能となった。<BR> 3.高齢者のブリッジ動作について、今後検討を行う必要性が示唆された。<BR>

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