パーキンソニズムを呈する症例に対する部分免苛装置を用いた床上歩行練習の有効性について

  • 岡田 洋平
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 梛野  浩司
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 徳久 謙太郎
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 宇都 いづみ
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 生野 公貴
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 鶴田  佳世
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 奥田 紗代子
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 竹田 陽子
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 松田 充代
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 高取 克彦
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 矢倉 一
    西大和リハビリテーション病院リハビリテーション部
  • 庄本 康冶
    畿央大学 健康科学部 理学療法学科

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説明

【目的】近年、パーキンソン病患者に対する様々なリハビリテーションの有効性が報告されている。パーキンソン病患者に対して部分免苛装置とトレッドミルを組み合わせた歩行練習を行って有効であったとする報告があるが、部分免苛装置を用いた床上での歩行練習(Body Weight Supported Overground Walking::BWSOW)に関する報告は少ない。そこで、今回我々はパーキンソニズムを呈する症例に対してBWSOWを実施し、その有用性について検討したので報告する。<BR><BR>【方法】対象は歩行障害を認めるパーキンソニズムを呈する患者8名(パーキンソン病4名、脳血管性パーキンソニズム3名、皮質基底核変性症1名、男性/女性=3/5、平均年齢:74.0±4.6歳、modified Hoehn-Yahr stage3~4.5)とした。BWSOWは明電工製天井走行式リフトシステムにNordisk Terapi AS製懸架用ハーネスを組み合わせて行った。4週間通常の多角的リハビリテーションを行い、歩行機能の改善がプラトーに達したと考えられる段階から4週間、3回/週、20分/回の頻度でBWSOWを施行した。評価項目はUnified Parkinson Disease Rating Scale (UPDRS)、Functional Ambulation Category (FAC)、10m歩行速度、歩幅、Mini Mental State Examination (MMSE)、Frontal Assessment Battery (FAB)とした。評価はBWSOW前、終了後、終了4週後、8週後に行った。<BR><BR>【結果】脳血管性パーキンソニズムの一人の症例を除いてすべての症例において、10m歩行速度、歩幅がともに改善しBWSOW終了8週後にもほぼ維持された。FACはパーキンソン病患者2名において改善を認め、それが8週間維持された。その他の症例についてはFACに変化が無く維持された。UPDRSはパーキンソン病患者においてのみ改善し、他疾患では著変を認めなかった。MMSE、FABはすべての症例において介入前後で著明な変化がなかった。<BR><BR>【考察】 今回BWSOWによってパーキンソン病患者において特に歩行機能やUPDRSの改善を認めた。この原因として、BWSOWによって転倒恐怖心が軽減した状態で多くの歩行練習量が得られたこと、central pattern generatorが賦活された可能性、床上での歩行練習によりADL上での歩行に近い課題特異的な練習方法であったため歩行機能の改善へと結びつきやすかった可能性、大脳皮質の賦活にも好影響を及ぼした可能性などが考えられる。<BR><BR>【まとめ】今回の結果からBWSOWが特にパーキンソン病患者において有用である可能性が示唆された。今後症例数を蓄積し、パーキンソン病患者に対するBWSOWの有効性についてさらに検討する必要がある。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2005 (0), B0224-B0224, 2006

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

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