中学生柔道選手の足部形態の特徴について

説明

【はじめに】中学校16校の柔道選手に対してメディカルチェックを行い,捻挫など足部障害が多いことがわかった。しかし,これまで柔道選手における足部形態についての報告はなく,柔道選手の足部形態を明らかにするために,特に扁平足と足趾筋力に着目して検討した。<BR>【対象】メディカルチェックに参加した198名(男子160名,女子38名)の両足396足のうち,調査時に何らかの足部障害により観察できなかった7足を除く389足(男子314足,女子75足)を対象とした。年齢13.0±0.9歳,身長161.3±8.3cm,体重61.3±14.1kg,BMI23.4±4.3であった。<BR>【方法】アニマ社製接地足底投影器Pedoscopeを用いて安静立位時の足底接地状況をデジタルカメラで撮影し,野田式分類法による定性的評価によりfootprintを4段階に分類した。さらにfootprintから足底面の接地面積を推定し,足長×足幅で標準化して足底面積比率として定量的評価を行った。また,同様の立位姿勢で舟状骨粗面高を測定し,足長で除してアーチ高率を算出した。下腿部と足部のアライメント評価としてleg-heel angleを測定した。あわせて,竹井機器工業社製デジタル握力計GRIP-D5101を足趾用に改良し,足部固定用の測定器を自作して立位にて足趾屈曲力(足趾筋力)を測定して体重比とした。<BR>【結果】野田式分類では扁平型であるI型が全体の12.3%を占め,特に女子では14.7%にも達した。野田式分類の型で比較すると,I型は他の3群に比べてアーチ高率が有意に低く,足底面積比率が有意に大きかった。アーチ高率と足底面積比率との間に弱い負の相関を認めた。アーチ高率はBMIと相関を認めないが,足底面積比率ではBMIと正の相関を示し,I型は他の3群に比べてBMIが有意に高値であった。leg-heel angleはアーチ高率と弱い負の相関を認めた。またI型では足底面積比率はleg-heel angleと正の相関を示し,接地面積が大きいほど踵骨の回内が大きいことが示唆された。足底面積比率・アーチ高率・leg-heel angleのいずれも足趾筋力と有意な関連性を認めなかった。足趾筋力はI型で他の3群に比し若干の筋力低下傾向を認めた。<BR>【考察】中学生柔道選手の足部形態の特徴として,扁平型のfootprintを呈するものが(特に女子に)多く,BMI高値,アーチ高率低値かつ足趾筋力低下が確認された。すなわちアーチの低下を代償するだけの筋力が不足し,脂肪蓄積型の擬似扁平足または真性扁平足と思われる過回内例が多いと推測される。柔道競技中に相手の技を防ぎ安定性を確保するためには,足部をtoe-outとして支持基底面を広げた構えが望ましいが,その際knee-inとならないよう十分な注意や指導が必要である。他の体力要素や既往歴との関連性を検討する必要はあるが,扁平足に伴う種々の障害を予防するためには,少なくとも足趾筋力の強化が重要であることが示唆された。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), C0003-C0003, 2005

    日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205565247232
  • NII論文ID
    130005012526
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.c0003.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ