セミリカンベント式自転車エルゴメータによる脚伸展最大トルク発揮時の下肢運動パターンの解析

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抄録

【目的】第37、38回学会で我々は、アップライト型自転車エルゴメータにおけるペダリング動作について動作解析の報告をした。近年、セミリカンベント型の自転車エルゴメータが移乗のし易さやCKCで脚伸展トルクが測れる機種の登場により理学療法の現場で普及してきている。しかし、そのペダリング動作の特徴などまだ明らかにされてない。今回はセミリカンベント型自転車エルゴメータによる脚伸展トルク測定時のペダリング動作について検討した。<BR>【対象】健常成人男性10名(年齢:29.2±5.1歳、身長:171.2±4.9cm、体重:70.7±10.6kg)を対象とした。<BR>【方法】Strength Ergo240(三菱社製)を用い、開始肢位は左矢状面にてクランクを垂直軸から時計回りに45°回転させた位置とし、回転速度60rpm(360deg/sec)で、6回の全力ペダリングによる脚伸展トルクを測定した。被験者の肩峰、大転子、膝関節外側裂隙、外果、踵、第5中足骨頭に直径2.5cmの測定用マーカーを貼り4台のカメラで撮影し、KISSEI COMTEC社製三次元動作解析システム(Kinema Tracer)で解析した。股、膝、足関節の角度は以下のように定義した。1)股関節角度は肩峰と大転子を結ぶ線と、大転子と膝関節外側裂隙を結ぶ線のなす角度、2)膝関節角度は大転子と膝関節外側裂隙を結ぶ線と膝関節外側裂隙と外果を結ぶ線とのなす角度、3)足関節角度は膝関節外側裂隙と外果を結ぶ線と踵と第5中足骨頭を結ぶ線とのなす角度とした。<BR>【検討項目】6回の全力ペダリング施行中に脚伸展最大トルクを発揮した角度での左矢状面から見た下肢運動パターンならびに股、膝、足関節の角度ならびに角速度について調べた。<BR>【結果】被験者10名の脚伸展最大トルクは、188.52±28.67Nm(2.70±0.51Nm/kg;発揮角度81.2±7.5°)であった。そのときの股、膝、足関節の関節角度は、順に89.64±3.57、63.84±5.70、8.84±6.69(単位:°)であった。2例において足関節がわずかに背屈していたが、その他は軽度の底屈位であった。角速度は、順に162.37±17.84、255.29±33.78 、151.31 ±39.31(単位:deg/sec)であった。全ての関節において伸展(底屈)方向の速度であった。<BR>【結論】セミリカンベント型自転車エルゴメータによる脚伸展トルクは複合関節運動による合力であるため、下肢3関節のそれぞれの貢献度については未知である。今回の動作解析により、60rpmでのペダル回転速度における股、膝、足関節の角速度が明らかになった。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2004 (0), C0333-C0333, 2005

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205565312512
  • NII論文ID
    130005012596
  • DOI
    10.14900/cjpt.2004.0.c0333.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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