脳卒中高次脳機能スケールにおける信頼性の検討

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  • 脳血管性痴呆患者への応用

抄録

【目的】Stroke Scaleには多くのものがあるが、定量的評価の出来る理想的な評価法は少ない。そこで日本脳卒中学会は平成6年よりStroke Scale委員会を組織し、Japan Stroke Scale:JSS、Japan Stroke Scale(Motor Function):JSS-Mと段階的に発表し、第三段階としてJapan Stroke Scale(Higher Cortical Function):JSS-Hを発表した。この評価法は脳卒中高次脳機能スケールとして発表されたものであり、当然その評価の対象は限定される。そして、同じ高次脳障害と規定される痴呆性高齢者の評価法も定量的評価が可能なものが少なく、現在同様の問題を抱えている。そこで今回、我々は介護老人保健施設に入所中の脳血管性痴呆性高齢者に対し、JSS-Hの応用の可能性を検討し、若干の知見を得たので報告する。<BR>【対象】 介護老人保健施設に入所中の脳血管性痴呆高齢者54名(8名、女性46名)で、平均年齢は81.1±7.4歳(69~96歳)。まず最初に評価者I(RPT)と評価者II(RPT)が同時にJSS-Hを用いて、対象者の高次脳機能レベルを評価した。次に、最初の評価が実施された日から1週間後、評価者IがJSS-Hを用いて、対象者の高次脳機能レベルを評価した。<BR>【倫理面への配慮】 本研究は、実施施設の承認を得た後、研究プロトコールに基づき、文書にて家族から同意の得られた対象者のみに実施した。対象者の家族には、研究参加に同意しない場合でも不利益が生じないこと、解析の結果を発表する場合、被験者の個人情報が明らかになることはないこと、検査の際に伴う不快感やストレスを感じる可能性があることなどについて、十分に説明を行い、十分な配慮のもとに実施した。<BR>【結果】信頼性分析には、Intraclass Correlation Coefficient(ICC)を用いた。評価者間信頼性(interrater reliability)については、評価者Iと評価者IIによるJSS-Hの成績を比較し、成績の一致性について分析した。評価者内信頼性(intrarater reliability)については、評価者Iによって2回行われたJSS-Hの成績を比較し、成績の一致性について分析した。その結果評価者間信頼性のICC値は0.9795、評価者内信頼性のICC値は0.9896を示した。すべての分析におけるp値は両側であり、p<0.01を有意とした。また、すべての統計処理には、SPSS(ver.11.5)を用いた。<BR>【考察・結語】 本研究では、評価者間信頼性および評価者内信頼性のICC値は、ともに非常に高い値を示す結果となった。よって今後、妥当性に関する研究を行い、その有意性が示されれば、痴呆性高齢者における高次脳障害の評価尺度としてのJSS-Hの実用化につながると考える。

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 2003 (0), E0978-E0978, 2004

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205565343488
  • NII論文ID
    130004578530
  • DOI
    10.14900/cjpt.2003.0.e0978.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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