サイドブリッジにおける肢位の違いが体幹筋ならびに股関節周囲筋活動に及ぼす影響

Description

【目的】<BR> 近年、下肢に加えて体幹筋を同時にトレーニングできるサイドブリッジが注目され、その有効性について数々の報告がなされている.しかしサイドブリッジにおけるこれまでの研究では、両下肢を揃えた通常のサイドブリッジ動作時の筋活動についての報告がほとんどであり、その変法に対する報告は少ない.本研究の目的は、サイドブリッジにおける下肢外転角度による違いが体幹筋ならびに股関節周囲筋活動に及ぼす影響について明らかにすることである.<BR>【対象と方法】<BR> 対象は健常成人男性10名(平均年齢21.9±0.7歳)とした.被験者には研究の趣旨を十分に説明した後、書面にて同意を得た.測定筋は両側の内腹斜筋(IO)、外腹斜筋(EO)、腹直筋(RA)、脊柱起立筋腰部(LES)、右側の中殿筋(GME)、大殿筋(GMA)、大腿直筋(RF)、大腿二頭筋(BF)、長内転筋(AL)の13筋とし、表面筋電図計(Noraxon社製TeleMyo2400)を用いて各サイドブリッジ動作時の筋電図(EMG)を測定した.サイドブリッジの開始肢位は右側臥位にて右肩関節90度外転位、肘関節90度屈曲位に規定した.EMG測定肢位は4種とし、まず通常のサイドブリッジは開始肢位から殿部を挙上させ、体幹・股関節が中間位となる肢位とした.残りの3種は通常のサイドブリッジから左股関節をそれぞれ10度、20度、30度外転位で保持した肢位とした.また、すべてのサイドブリッジにおいて右前腕部と右足部により支持するように規定した.EMGの測定は、各肢位が安定した後3秒間の筋活動を記録した.各対象筋の3秒間の最大随意収縮(MVC)時のEMGを測定し、この積分筋電量を100%として各測定値を正規化し、%MVCとして表した.統計学的検定はFriedman検定およびScheffe法の多重比較を行い、いずれも有意水準は危険率5%未満とした.<BR>【結果と考察】<BR> 通常のサイドブリッジ動作時の筋活動は、右IO(39.7±15.8%)、左IO(25.9±16.8%)、右EO(54.9±24.9%)、左EO(7.1±5.8%)、右RA(23.2±11.7%)、左RA(14.3±11.7%)、右LES(21.2±9.2%)、左LES(2.1±0.7%)、GME(25.2±15.6%)、GMA(24.2±13.7%)、RF(8.7±14.1%)、BF(5.3±10.1%)、AL(3.2±2.3%)となった.これと比較して、外転角度を大きくする(30度外転位)ことで有意に筋活動が増加したのは、右IO(84.8±33.5%)、左EO(12.9±7.7%)、左LES(5.2±3.3%)、GME(79.0± 34.6%)、GMA(93.6±63.6%)、RF(32.9±19.7%)、AL(11.9±12.6%)であった.また、GMEについては10度、20度外転位においても、RFについては20度外転位においても有意に筋活動が増加した.本研究により、サイドブリッジにおいては下肢外転角度を変化させることで選択的に筋活動を増加させることが可能となることが示唆された.

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Details 詳細情報について

  • CRID
    1390001205565610752
  • NII Article ID
    130004580065
  • DOI
    10.14900/cjpt.2008.0.a3p2038.0
  • Text Lang
    ja
  • Data Source
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • Abstract License Flag
    Disallowed

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