通所介護における機能訓練の効果
書誌事項
- タイトル別名
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- 介護度別の比較
説明
【目的】<BR>当院併設の通所介護施設では従来、全員を対象とする体操に加え必要に応じて個別機能訓練を実施してきたが、平成18年4月1日からの介護保険法改正により全利用者の個別機能訓練プログラムの策定が必要となった。そのため人員および時間的制約から適正な運営が困難となり、機能訓練の方法について改正を行った。そこで通所介護において運動効果を十分にあげる事が可能かを調査する為、集団体操および数種類の運動の組み合わせがもたらす効果について検証する。<BR>【方法】<BR>機能評価として(1)上体起こし、(2)握力、(3)立ち上がり、(4)長坐位体前屈、(5)5m歩行、(6)最大1歩幅(以下1歩幅)、(7)Functional Reach Test(以下FRT)、(8)Timed Up & Go Test(以下TUG)、(9)片脚立位(以下OFS)、(10)HDS-R、(11)FIMを初回、6ヶ月後に実施し、運動プログラムとして従来からの全員対象とした体操から、活き活き体操、ストレッチ、チューブ体操、スワロビクスを初回機能評価結果を基に選択、実施した。統計処理にはUnpaired Student’s t-testを用いた。<BR>【結果】<BR>要支援~要介護1(A群)、要介護2~3(B群)、要介護4~5(C群)に分類した。人数はA群男性31名・女性77名、B群男性22名・女性37名、C群男性6名・女性19名であり初回、6ヶ月後の評価間で年齢、身長、体重、HDS-Rに有意差はなかった。A群男性は5m歩行時間(p<.05)、女性は5m歩行歩数(p<.01)、1歩幅(p<.01)、TUG(p<.05)、OFS(p<.05)に有意な改善を認め、B群男性は5m歩行歩数(p<.05)、1歩幅(p<.01)、女性は1歩幅(p<.01)、FRT(p<.01)に有意な改善を認めたが、C群では男性の長坐位体前屈(p<.05)のみが有意に改善した。<BR>【考察】<BR>選択的な機能訓練を追加したことで軽度介護者の歩行機能に関連した因子に有意な改善を認めたが、ADL面での変化は認められなかった。また、重度介護者であるほどすべての項目において改善率が乏しい結果となった。これより軽度介護者に対し今回の運動プログラムは比較的効果的に作用し、重度介護者に対しては検討の余地があると考えられた。<BR>【まとめ】<BR>今回、利用者を介護度別に3群に分け、個別機能評価から適切なプログラムの立案や実施の可能性について検討した。結果として軽度介護者では比較的効果を挙げる事ができたが、重度介護者では改善が乏しく検討課題が残された。今後更なる追跡調査が必要と考える。
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2006 (0), G1152-G1152, 2007
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205565658240
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- NII論文ID
- 130005014621
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可