臨床実習において理学療法士実習生に受け持たれることに関する患者意識
説明
【目的】実践的臨床能力を育成する場として臨床実習は必要不可欠なものとして位置づけられる。しかし、実習の対象となる患者にとっては理学療法士実習生(以下、実習生)の存在は本来の入院目的とは別であり、患者の好意によって実習が支えられている。個人情報保護法施行を契機に臨床や教育現場で同意書の運用やこれまで以上に臨床実習において「いつ、どこで、どのようなことが行なわれるのか」という説明を行ない、臨床実習における安全の保障と秘密厳守を文章で約束する事が求められている。近年、診療報酬改定、在院日数等の問題より、臨床では実習生の担当を受け入れることに躊躇する場面、実習の同意を得ることが困難となり患者選択に難渋することが少なくない。先行研究では臨床実習において受持ち患者になる以前に行なわれた患者意識の実態調査は少ない。そこで引き受けるにあたっての意識について明らかにし、今後の実習生の受持ちを依頼する際の配慮、患者の同意に基づいた実習展開をおこなう資料とすることを目的に報告する。<BR>【方法】当研究の趣旨に同意が得られた当院一般病棟に入院中でリハビリ依頼があった患者82名を対象とした。自らの意思表示が困難な患者、認知、高次脳機能障害を認めた者は除外した。調査方法は無記名・自己記入式による質問法にて行なった。調査内容は1)基礎情報は年齢、性別とし2)実習生が担当することについての協力依頼に対し、協力あるいは非協力の意思とその理由、3)実習生との接触の有無については入院中に見たか否か、学生に受け持たれたか否か2つから選択させ4)実習生に受け持たれるとしたらどのように思うかについては、精神的なサポートについて4項目、負担感について4項目、理学療法士の代理としての役割について4項目、学生のケア(学生がおこなう理学療法技術)について3項目について、とても思う、そう思う、あまり思わない、思わないの4つから1つを選択させ回答を求めた。【結果】調査対象患者の多数が担当になることへの協力の意思を示された。実習生に担当されることによる影響について協力群において、負担感は低く精神的サポートになり得るが学生へのケア、理学療法技術への不安が高かった。非協力群においては心身の苦痛や不安などより精神的負担感が高かった。【考察及びまとめ】現在の社会の傾向として患者は、権利に対する意識が高まっているなか、患者の心身が不安定な中では実習を引き受けにくい傾向があり、実習を依頼する者として心身の状況や患者の負担を考慮した上で実習の協力と同意をお願いする必要がある。又臨床実習の形態自体が一般市民の善意から成り立っている。患者は自分にとって利点があり有益な存在となる場合には担当を歓迎している反面、技術の未熟さ、知識不足に不安をもっている。臨床実習指導者は、患者が技術や知識に不安を感じない様に対応する必要がある。<BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR><BR>
収録刊行物
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- 理学療法学Supplement
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理学療法学Supplement 2006 (0), G1128-G1128, 2007
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205565736832
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- NII論文ID
- 130005014597
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可